TOP >
BACK | TOP | NEXT

リストマーク 魚上氷 

2017年02月16日 ()
  2月13日ごろからは、七十二候では立春末候の「魚上氷(うお こおりを のぼる)」にあたります。割れた氷の間から魚が飛び出るという意味ですが、中国古代の天文学に出てくる話だそうで、日本では温かくなった水の中に魚の姿が見え始める頃、としたほうが分かりやすいかもしれません。

  今日の水彩画は、「曙光に輝く木々」です。昇り始めた朝陽に森の木々の頂上が照らされ暁色に染まります。霜柱を踏みしめ寒さに身を屈め歩く散歩道から見上げると、朝陽に輝く木々が春の兆しと温もりを注いでくれます。
17-02-16.jpg

  魚上氷といえば、居酒屋で注文する肴に「氷下魚(こまい)」があります。コマイの干物を炙って醤油マヨネーズで食べると、酒の肴として絶品です。主に北海道の海で穫れる魚で、12月後半から2月下旬が旬、関東では干物で出回っているようです。
コマイはアイヌ語で「小さな音のでる魚」を意味し、漢字の「氷下魚」は氷を割って獲る(氷下待ち網漁)漁法から名付けられたようです。コマイはタラ科の魚で、体の血液には零度以下でも凍らない成分が含まれているそうです。

  立春の七十二候は、初候「東風解凍」、次候「黄鶯睍睆」、末候「魚上氷」とあり、春を告げる風、春を告げる鳥、そして春を告げる魚といいたいのですが、春を告げる魚はニシンです。それにしても、昔の人々は様々な自然の現象や生きものの様子から、春を感じ取ってきたようです。それだけ春が待ちどおしかったのでしょう。立春を過ぎて間もない頃は、日々の生活の中に、それを包む自然にも、まだまだ冬が居残っているものです。そんな状態を「春浅し」といいあらわすようです。

  おとうさん、春浅し!「寒いねえ!まだまだ炬燵から抜け出せない!」「あなた!もう炬燵をしまいますよ!暦では雨水が近づき、畑仕事が始まりますよ!」「雨水ねえ!陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり・・かあ、昔から農耕の準備をしたものだ!それにしても炬燵が恋しい・・あの温もりが恋しい・・ぎゃぁ~、炬燵がわりに猫抱きしめたら、引っかかれたあ~・・・・」

  「凍て解けて筆に汲み干す清水哉(いてとけて ふでにくみほす しみずかな)」 芭蕉の句ですが、ようやく春が来てとくとくの泉も氷が解けたが、その水量は少なくて筆に沁み取ったら無くなってしまうほどのものだ、とやっと氷が融け始めた浅い春を詠んでいます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト

  相模原の市民ギャラリーでの「サム ヤマモトの水彩画個展」が、お陰様をもちまして、盛況の内に無事終了いたしました。みなさん有難うございました。来年も同じ時期に同じ場所で個展を開催する予定ですので、楽しみにしていてください。今日からまた、来年の個展をめざして風景画を描いていきます。
[2017.02.16(Thu) 14:51] 季節Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 立春 

2017年02月07日 ()
  2月4日は立春でした。旧暦ではこの日が1年の始めとされていたため、決まり事や季節の節目はこの日が起点になっています。八十八夜、二百十日、二百二十日も立春から数えます。暦便覧に「春の気立つを以って也」と記されているように、春の始まりで、この日から立夏の前日までが春となります。春とはいうものの一年でもっとも寒い時期なのですが、雪が降る中にも梅がほころび始めるなど、この日から寒さも和らぎ、日射しものびていきます。

  今日の水彩画は、「春の新雪」です。立春とはいえ、山や雪国ではまだまだ雪が積もります。先ほどまで吹雪いていた雪が止み、雪雲の間から陽がさし込むと、柔らかく積もった新雪が眩しく輝きます。春の気配を抱えた日差しが、青く凍てついていた木々の間にわずかな温もりを届け、柔らかな暖色の景色に変えていきます。
17-02-07.jpg

  立春の日は旧暦のお正月にあたります。その前日の夜、節分に豆まきをするのは、邪気を払い福を呼び込んだうえで、新しい春を迎えるためのようです。
 この新しい春を迎えていただく祝い酒に「立春朝搾り」というお酒があります。節分の日の夜から一晩中、もろみを搾り続けて立春の日の早朝に搾りあがったばかりの生原酒を、その日の夜に呑む、火入れをしない生原酒ですから、このうえなく新鮮で美味しいお酒が味わえるそうです。

  おとうさん!立春!「立春とはいえまだ寒いね、厄除けの立春大吉の札を貼って、これでよし!この文字は左右対称になっていて表から見ても、裏から見ても、立春大吉だ。だから家に入った鬼が、ふり返って、裏から立春大吉という文字を目にし、この家の入口はここかと勘違いをして出ていく、という有り難いお札だ!なに?ご利益がない?鬼が家の中にいるって?おっと、あれは家のかみさんだよ!」「あなた~、鬼がどうかしましたか?」「いいや!お前は家の神様だといったんだよ!ふう・・・」

  立春の七十二候の初候では、「東風解凍(はるかぜ こおりを とく)」とあり、春めいた風が厚い氷を解かし始める頃としています。東風は春風のことです。いまでは春風は南から吹いてくる暖かい風のことを指しますが、もともと中国の陰陽五行の思想では春は東を司るので、春風のことを東風と呼んだことからきています。
 「春めくややぶありて雪ありて雪」 一茶の句です。道を行くと藪があり、その根元には残雪が深く残っている、その先にまた藪がありまた雪が続く、けれども、何となく春めいて春はもう近いと感じられる、春を待ち望む雪国の人の気持ちが分かります。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト

  いよいよ今週金曜日からとなりましたが、相模原の市民ギャラリーにてサム ヤマモトの水彩画個展を開催いたします。駅のすぐそばの会場ですので、気軽にお越しください。

サム ヤマモト 水彩画個展(第四回)
「木々の光と影と命」
場所 相模原市民ギャラリー 第一展示室
    JR相模原駅ビル セレオ相模原4F
開催期日 2017年2月10日(金)~2月13日(月)
時間 10:00~19;00(初日11:00より、最終日16;00まで)
入場無料、図録等の販売あり
[2017.02.07(Tue) 13:28] 季節Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 水沢腹堅 

2017年01月26日 ()
 寒波が襲来し大寒真っ只中、25日からは七十二候の「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」つまり、沢に氷が厚く張りつめるほどの寒い時期になります。この時期には、その年の最低気温が観測されることも多いようですが、一方では、「春隣」という季語が使われるように、春がすぐそこまで来ているともいわれ、寒さに耐えひたすら春を待ちわびる季節です。

  今日の水彩画は、「吹雪の菅平高原」です。先週、菅平高原に行ってきました。雪が少なかった昨年とは違って、今年は大雪と吹雪の中での滑走となりました。
 吹雪の中、寒さと雪の重みに耐えている木々は、枝々に蕾を抱え、根元の雪の下に虫たちの卵を隠し、やがて来る春に繋ぐ命を守ります。吹雪の合間に差す薄日が、春を待つ木々たちを元気づけます。
17-01-26.jpg

  日本の観測史上最も低い気温は、1902年1月25日に観測された北海道旭川の-41℃で、百年以上たった今でも塗り替えられていないそうです。この日は、青森で八甲田山遭難事件が発生した日でもありました。最低気温の世界記録は、南極で1983年に観測されたー89.2℃です。ちなみに人が住んでいる地域での最低気温記録は、シベリアで観測されたー67.8℃だそうです。マイナス90℃の気温とは、家庭用の冷蔵庫の冷凍室はー18℃、ゴキブリ退治のジェットは-75℃(カタログ値)ですから、その寒さはすべてが凍り付く想像を絶する世界なのでしょう。

   おとうさん、寒波!「寒むっ!こんな日は温泉で温まり、鍋物で燗酒だねえ~!」「あなた、お風呂が沸きました!」「おっ!お風呂、想像で温泉だと思えばいい・・・風呂から上がるとお姐さんが鍋を用意していて、あら遅かったのねえ、燗が冷めちゃいましたよ、私の肌で温めて人肌燗でいい・・・」「あなた、湯あたり?お水をジャ~と!」「ぎゃあ~!冷はだめだ!熱燗にしてくれ!」

  温まる話にしましょう。日本酒はお酒の中でも飲む温度の幅が広いお酒ですが、燗酒には細かく温度別に名前がついています。日向(ひなた)燗:30℃、人肌燗:35℃、ぬる燗:40℃、上燗:45℃、あつ燗:50℃、とびきり燗:55℃、日向よりも人肌のほうが温かいとした昔の人の感覚がいいですねえ~。

  「山水の減るほど減りて氷かな」蕪村の俳句ですが、まさに沢の水が氷る「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」の寒中に詠んだものなのでしょう。

ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト

   今年も下記のように、相模原の市民ギャラリーにてサム ヤマモトの水彩画個展を開催いたします。駅のすぐそばの会場ですので、気軽にお越しください。

サム ヤマモト 水彩画個展(第四回)
「木々の光と影と命」
場所 相模原市民ギャラリー 第一展示室
    JR相模原駅ビル セレオ相模原4F
開催期日 2017年2月10日(金)~2月13日(月)
時間 10:00~19;00(初日11:00より、最終日16;00まで)
入場無料、図録等の販売あり

[2017.01.26(Thu) 13:40] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 大寒 

2017年01月18日 ()
  寒い日が続きますが、1月20日は大寒を迎えます。冬の季節の最後の節気で一年の中で最も寒い時季です。暦便覧には「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と記されています。寒稽古など、耐寒のためのいろいろな行事が行われます。また「寒仕込み」といって、寒気を利用した食べ物(凍り豆腐、寒天、酒、味噌など)を仕込むのに最もよい時期とされています。

  今日の水彩画は、「冬の森の日の出」です。前回が海の日の出でしたから、今回は木もれびの森の日の出です。凍てつく森の朝、茂みの向こうから陽が昇り、寒さに耐えた草木に眩しい光と温もりを注ぎます。裸木の枝々と緑が残る葉達が明るく輝き、春を待つ命を照らします。
17-01-18.jpg

  この時期に汲まれる水を「寒の水」といい、雑菌が少なく体に良いとされ、長期保存に向いていることから、寒の水で仕込まれた酒、味噌、醤油は良質とされています。中でも、寒に入って9日目に汲んだ水は「寒九の水」として尊ばれ、薬として飲まれるほどで、この水で仕込んだ酒は特別なものとされてきました。
 食べ物では、大寒卵があります。昔は、この寒い時期にはニワトリは卵をあまり産まなく、それだけに時々生む卵は栄養が豊富で健康によく、黄身が濃く黄金色になることから、金運が上昇するといわれたのです。また寒の水で米を炊いてついた餅を寒餅と言って珍重し、餅を寒の水に浸けたのが水餅で、これまた腐らないとされました。

  おとうさん、大寒!「冷えるねえ、熱燗でキューっとやると温まるのだが・・・大寒といえば寒九の酒だ、大寒卵は金運上昇だし・・寒九の酒と大寒卵の厚焼きで一杯・・お~い!」「あなた、お正月のお酒はもうありませんが、卵なら・・・」「おう!いいね、徳利とお猪口、肴は卵焼きだあ、あちちっ熱燗だね~、何?お湯?」「ですから燗の水ですよ!」「うむ・・・・・寒九の酒と大寒卵だと思って・・・腐らない、腐らない」

  「見てさへや惣身にひびく寒の水」 一茶の句ですが、満足な暖房もない昔のこと、体にいいとされる寒の水ですが、身に沁みる冷たさであることはよくわかります。日本の気候では一番寒い時期は、大寒から春分の前あたりとされ、七十二候の大寒の次候でも、「水沢腹堅」とあり、沢に氷が厚く張りつめるほど寒い季節としています。寒中水泳や寒稽古などが行われる時期ですが、これは昔の「寒の水に打たれると霊力が授かる」として水をかぶる修行者の荒行からきているようです。暖房でぬくぬくとしている現代人の方が、大寒の寒さを敏感に感じられるのかも知れません。

   ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト

今年も下記のように、相模原の市民ギャラリーにてサム ヤマモトの水彩画個展を開催いたします。駅のすぐそばの会場ですので、気軽にお越しください。

サム ヤマモト 水彩画個展(第四回)
「木々の光と影と命」
場所 相模原市民ギャラリー 第一展示室
    JR相模原駅ビル セレオ相模原4F
開催期日 2017年2月10日(金)~2月13日(月)
時間 10:00~19;00(初日11:00より、最終日16;00まで)
入場無料、図録等の販売あり

[2017.01.18(Wed) 21:22] 季節Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 芹乃栄 

2017年01月11日 ()
   七十二候では小寒の初候、「芹乃栄(せりすなわちさかう)」となりました。芹(せり)が生え始める頃というわけで、正月7日は七草粥をいただく日でしたが、七草の1つが芹です。田んぼや川のあぜで、まるで競り合うように生えていることからセリと名がついたといわれます。この寒い時期には芹(せり)は生えていませんが、暦は旧暦ですから立春のころになり、芹が出てきてもおかしくない時期なのです。

  今日の水彩画は、「初日の出」です。毎年正月の墓参りを兼ねて初日の出を拝みに行きます。雲一つない快晴の冬の海の水平線が赤くなると、暗い海が赤く染まりはじめます。やがて陽が顔を覗かせると、目を開けて居られないほどの光の束が海を走り、寒風に凍えた頬に温もりが感じられます。すべての生きものに生きる喜びを与えてくれる陽の光と温もりが蘇り、岩棚に溜まった海水が鏡のように光ります。
17-01-11.jpg

  山形県白鷹町に伝わる民話では・・・孝行息子が「親を若返らせてください」と祈ると、夢枕に立った神さまが「正月七日に七草を食べて何千年も生きてきた白鳳という鳥がいる。鳥にみつからないように六日に七草を摘み、親には歯がないから叩いて柔らかくして七草粥にして食べさせよ。鳥が帰る酉の刻までに食べよ」とのお告げがありました。言われたとおりにすると、毎年10歳ずつ若くなり、末永く親子仲良く暮らしたそうです・・・。これが七草粥のはじまりだとされているそうです。
 日本では昔から正月七日に七草を粥にして味わい、一年の邪気を祓うとされてきました。凍てついた大地から芽生える若菜を食べると、春のように若返りの力が湧いてくると考えられたのです。芹(せり)はビタミンCやβ-カロテンが豊富で強い抗酸化作用をもち、鉄分も含まれ造血作用もあり、肝機能も高めるといわれ、確かに老化防止には効きそうです。

   おとうさん、七日正月!「年が明けたと思ったら、もう七日だ!七草粥の日だ!七草粥と正月の残り酒をいただきますか?」「いけません!お正月で呑みすぎ食べすぎた胃を休ませるためのお粥ですから、お酒なんて!」「七草粥を食べると毎年10歳若返るそうだ!」「えっ!本当ですか?じゃ私がお粥をいただきます!あなたはお酒でもなんでも呑んでくださいな!」「・・・・・・・」

  「凧きのふの空のありどころ」 とは与謝蕪村の俳句ですが、空を見上げても何もないけれど、きのうは凧が上がっていた、という何もない空を詠んだ素っ気ないような句ですが、何もないところに澄み切った正月の空が感じられます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト

  今年も下記のように、相模原の市民ギャラリーにてサム ヤマモトの水彩画個展を開催いたします。駅のすぐそばの会場ですので、気軽にお越しください。
サム ヤマモト 水彩画個展(第四回)
「木々の光と影と命」
場所 相模原市民ギャラリー 第一展示室
    JR相模原駅ビル セレオ相模原4F
開催期日 2017年2月10日(金)~2月13日(月)
時間 10:00~19;00(初日11:00より、最終日16;00まで)
入場無料、図録等の販売あり
[2017.01.11(Wed) 23:47] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


BACK | TOP | NEXT

カウンター

カレンダー

プロフィール

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

QRコード