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リストマーク 菊の花開く 

2017年10月13日 ()
   今ごろは、七十二候では菊花開(きくのはな ひらく)とされています。菊は奈良時代から平安時代にかけて中国より到来し、以来、日本の風土に溶け込み、品種改良が行われ、今では多彩な品種の「菊」が生まれています。菊は花の中で最も品格あるものとされ「百花の王」と称賛されてきました。当初は鑑賞用としてではなく、邪気をはらう不老長寿の薬として伝わったようです。

   今日の水彩画は、「初秋の木もれびの森」です。まだ紅葉には早い森ですが、柔らかな秋の陽を浴びると、木々の葉が黄色や褐色の秋色が薄く浮かび上がります。低木や草の葉の裏側では、もう秋が出番を待っています。
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   先日、「池田学展The Pen」(日本橋高島屋にて開催)を見て来ました。ペン先につけたアクリルインクで描く1mmに満たない線を幾重にも重ねて、緻密で壮大な世界を描きだすアーチストの展覧会でした。1日に10センチ四方の面積しか描くことのできない緻密な描写とスケールの大きな構成で異次元の世界を現出させた作品は、神業的な超絶技巧と細密描写により、実際に絵を見た人にしかわからない驚愕の世界を創り出しています。池田画伯は「細密に表現するということは、大きな立体感を生み出すための必要不可欠なプロセス!大きな山だって、一つ一つの樹や岩の集合体、それら樹や岩にも明暗があり空間がある。それらの小さな空間が繋がっていって、やがて山という大きな空間が生まれる。ペンで細密に描いていくことは、空間を大きく描いていくことと同じことです」と、単なる細密画とは違うと語っています。一枚の絵を近くで見たり、離れてみたり、詳細に見るたびに驚きの発見があり、一日中見ていても飽きない、絵の前から離れられなくなる・・・すばらしい展覧会でした。

   おとうさん、菊の季節!「菊の花開く・・盃に菊の花を浮かべ一杯、いいねえ、風流、酒は菊正宗かな?」「あなたは・・お酒を呑むことばかり考えて!」「これはなあ 菊花の宴 といって平安のころからの行事だ!女性たちは菊の花に被せた真綿 菊の被綿(きせわた)で体を拭って若返りを願ったそうだよ!雅だねえ!」「あらっ!私もやってみようかしら・・」「・・・もうキクわけがないよ・・・」

   菊の花が咲くころの秋空が晴れわたることを「菊晴れ」といいますが、清々しく青く広がる空の下、深呼吸すると寿命が伸びそうな気がします。
 「子狐のかくれ貌なる野菊哉(こぎつねの かくれがほなる のぎくかな)」とは与謝蕪村の句です。野菊が群がり咲く陰で子狐が隠れん坊、かわいらしい句です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.10.13(Fri) 09:52] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 寒露 

2017年10月10日 ()
  10月8日頃から二十四節気の「寒露」となります。寒露とは、晩夏から初秋にかけて野草に宿る冷たい露のことです。暦便覧には「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」と記されています。本格的な秋の始まりとなり、五穀の収穫もたけなわ、農作業が超多忙となります。大気の状態が安定し、空気が澄んだ秋晴れの日が多くなり、見上げてみると、秋の清々しさを感じる空に出会えるでしょう。

  今日の水彩画は、「太古の地球を語る岩壁」です。数億年前の岩石が30キロメートルの深さから隆起し、川の水で浸食されてできた岩壁です。赤色、緑色、白色と、岩石の成分の差で様々な色が浮かび、ひと足先に秋を彩るかのようです。澄んだ水面に映る荒々しい岩の表情には、数億年の地球の歴史が刻み込まれています。
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  ツバメと入れ違いに雁が北から渡ってくる頃です。雁は日本で冬を過ごし、暖かい春になると北国へ帰っていきます。毎年、初めに訪れる雁を「初雁(はつかり)」と呼びます。七十二候では寒露の初候に「鴻雁来る(こうがんきたる)」とあります。10月の声を聞くころにやって来て湖畔に群れているのですが、カギ状やサオ状になって飛ぶことから「雁の列(つら)」「雁の棹(さお)」「雁行(がんこう)」、昼間に飛び、夜間は水上に降りてくる様子を「落雁(らくがん)」と、俳句の季語としても多く詠われます。

  おとうさん、収穫の秋!「秋だねえ!新米、新蕎麦が旨い時期だねえ!秋の新蕎麦が一番うまいのだ!」「あら、あなた!新蕎麦の多くは夏に出回るそうですよ!」「昔の冷蔵が出来ない時代、暑い夏には蕎麦は風味も失せ、つながりも悪くなるのだ!だから江戸っ子は秋の新蕎麦を首を長くして待っていたのさ!」「あらそうなのですか!うちにはありませんから、そこいらのお蕎麦屋さんで食べてくださいな!」「えっ!うぅ・・やはり、おまえのそばがいい・・」「よく聞こえませんが・・・」

  収穫前の作物に寒露がつき、畑が朝霧に包まれる様子もまた、秋ならではの美しさです。日本の味覚は、目でも楽しむと言いますが、風景としての味覚も味わえるのが日本の秋です。我が家の畑でも、里芋やゴボウ、生姜が収穫を待っていて、夏の終わりに植えた秋野菜がすくすくと育ち、美しい里山の風景を創り出しています。

  「けふからは日本の雁ぞ楽に寝よ」とは小林一茶の句です。北国から渡ってきた雁に、ご苦労様でした、次の春までゆっくり羽を休めてください・・・、という一茶の優しい心が伝わってきます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.10.10(Tue) 16:22] 季節Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 蟄虫坏戸 

2017年09月28日 ()
   9月28日頃からは、七十二候では秋分の次候「蟄虫坏戸(ちっちゅう こを はいす)」となります。虫が土中の穴に入り戸をふさぐという意味で、虫が巣ごもりを始める季節なのです。春の啓蟄(けいちつ)(虫が穴から這い出して来る)に対して秋は蟄虫(ちっちゅう)といいます。木々の実が実り、稲刈りも、にぎやかな秋祭りもこれからだというのに、虫たちは穴の中に入り巣ごもりを始めます。

   今日の水彩画は、「川面に映る秋の気配」です。まだ緑ばかりの木々の中に一本だけ色付いた木があります。静かな流れに映る景色の中で、色付いた木だけが秋の気配を川面に映し込んでいます。
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   稲刈りが盛んになる今の時期、秋分の初候に「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」とあるように、夏の嵐の雷も収まり、安定した気候が続くようになります。
 俳句では、「雷」は夏の季語ですが、「稲妻」は秋の季語になります。「稲妻」はもともと「稲の夫(つま)」という意味で、古くは夫も妻も「つま」といっていたので、雷が稲の実をはらませると考えられていたことから来ているようです。雷の多い年は豊作だといわれるように、稲妻の光に秋の豊かなお米の稔りを祈っていたようで、「稲妻」や「稲光」という言葉に、昔の人が抱いた稲や米に対する特別な思いを感じます。

   おとうさん蟄虫!「秋だなあ~蟄虫坏戸といって虫たちが穴に入って冬ごもりの用意をする季節だなあ・・・」「あなた~収穫の秋!畑の収穫作業頑張ってくださいな!」「やれやれ・・虫はいいなあ~穴に入って戸を閉めてぬくぬくと・・」「虫になりたい?ゲジゲジ虫爺かな?ゴロゴロしてないで、早く収穫作業してください!あなた!」「おっと!かみさんの稲妻がピカゴロと落ちる前に頑張るかぁ・・・・」

   先日新聞の文化欄に、「虫の化石から太古の人々の暮らしがわかる」という記事が載っていました。たとえば弥生時代の遺跡から稲の害虫の化石から、稲作をしていたことが分かり、縄文遺跡からショウジョウバエの化石が出ると、お酒を造っていたことが分かるそうです。江戸時代の城の遺跡の大きな桶底からは、ヒメイエバエのサナギが見つかり、ぬか漬けの桶だったことが分かったそうです。虫と人の暮らしには、害虫や益虫とかに関わらず、大昔から深い繋がりがあったようです。

   「あの雲は稲妻を待つたより哉」は芭蕉の句です。稲妻に豊作を期待する農民たちの気持ちがよくわかります。

   ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.09.28(Thu) 13:15] 昆虫Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 秋彼岸 

2017年09月23日 ()
  9月23日は二十四節気の秋分で、昼と夜の長さがほぼ等しくなります。暦便覧では「陰陽の中分なれば也」と記されています。この日を境に日が短くなっていき、秋の夜長に向かいます。「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、陽が射す時間が短くなるので、暑さも和らいでいくわけです。今日は朝から雨模様の天気で、一段と涼しく感じられ、室内でも長袖を着ています。

  今日の水彩画は、「初秋の長瀞」です。真夏の喧騒も終わり静まり返った初秋の長瀞で、朝一番の船に乗りライン下りを楽しみました。ゆったりとした流れ(瀞)が、突然、大岩に向かって流れ込む急流に変わります。川面に秋の空の青さが映り、白い岩肌が水面に反射してキラキラと輝きます。秋の紅葉にはまだ早く、渓谷の緑が静かな流れに沈み込みます。
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  23日はお彼岸の中日でもあります。太陽が真東から昇って真西に沈む秋分は、西にある彼岸(西方浄土の世界)と東にある此岸(現世)がもっとも通じやすくなると考え、先祖供養をするようになったようです。つまりご先祖様をお迎えするのではなく、こちらから近づいていって、供養をするのが彼岸会なのです。お盆と違って彼岸会は、インドや中国にはない日本独特の行事のようです。
 「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は、自然に寄り添う人々の暮らしの中で、暑さ寒さやそれに伴う様々なつらさも、彼岸のころには和らいで楽になりますよ、と励ます意味があったのでしょう。春彼岸は種まきの季節でその年の豊穣を祈る気持ちがつよく、秋彼岸は収穫に感謝する気持ちがこめられています。

  おとうさん、お彼岸!「暑さ寒さも彼岸まで・・かあ、今日は肌寒いねえ~。そろそろ、炬燵に入って熱燗で一杯という季節かな?」「あなた、早すぎますよ!お彼岸を過ぎると、暑さが和らぐという意味です!年寄りは暑さ寒さが感じにくくなるそうですよ!」「そりゃそうだ!歳とって彼岸(西方浄土)まで行ってしまえば、暑さ寒さを感じなくなるさ!だから暑さ寒さも彼岸まで、っていうのかな?」「・・・あなた大丈夫?」

  「まんじゆさげ蘭に類ひて狐啼く」とは蕪村の俳句ですが、江戸時代までは曼殊沙華(彼岸花)は俳句で詠まれることはあまりなかったようで、蕪村もこのようによそよそしく詠んだだけでした。曼珠沙華は、彼岸花と和名がついたように、秋の彼岸のころに真っ赤に群がって咲いています。そうして彼岸が過ぎると、消えたようにぱったりと花を終わらせてしまう不思議な花です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム・ヤマモト
[2017.09.23(Sat) 14:45] 季節Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 草露白 

2017年09月12日 ()
  七十二候における白露の初候は、 草露白(そうろしろし)とあり、草の露が白く光る時季としています。夜空の月も美しいので、白露は月の雫とも呼ばれるようです。9月11日は「二百二十日」で、台風がよく襲来する特異日とされ、稲穂も重くなり、果実も実り、農家が収穫にかかる頃ですから、台風の進路や予報が気になる季節です。

   今日の水彩画は、「陽の当たる散歩道」です。朝陽が初秋の木もれびの森に差し込み、柔らかくなった陽が散歩道を白く照らします。鮮やかな緑で照り輝いていた木々の葉も少しくすんだ緑になり、葉を透かす光が黄色みを帯びてきました。
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   秋なのに白露という白色は、秋に思い浮かべる色と比べると違和感があります。この秋の白は、古代中国に端を発する五行説(ごぎょうせつ)という自然哲学の思想からきたものです。五行説では、万物は木・火・土・金・水の五種類の元素からなるとされ、季節と色もこの五元素に結びついているとされています。すなわち、「木:春・青」、「火:夏・朱(赤)」、「金:秋・白」、「水:冬・玄(黒)」、「土:土用・黄」、ということから、秋は白色になるのです。この季節と色をつなげて、青春や朱夏、白秋や玄冬といった言葉が生まれ、北原白秋などの多くの名前の由来にもなっています。

   おとうさん、秋色?「秋の色かぁ~秋色の風景画を思い浮かべるなあ、深い空の青、紅葉の赤や黄色、夕焼けの茜色、稲穂の黄色・・・」「そうねえ秋色といえば、サツマイモの赤、里芋の白、南瓜の黄色、柿の橙・・・」「食い物の色ばかりだな・・・」「秋色といえば、あなた~、秋色の着物が欲しいわ、ねえ~」「えっ!秋色の着物?うぅ~、白秋といって、もともと秋は白色だ、白のかたびらにしては・・・・」「きぃっ!あなた!縁起でもない!」「ちっ、ちがう!白は陽の光、希望の色だ!」

  九月の陰暦名には、「長月」「紅葉月」「菊咲月」など色々ありますが、なかでも「彩り月(いろどりづき)」は美しい名です。木々の葉が赤や黄色に色付くのを見て、昔の人が思わず名付けたものなのでしょう。

  「朝顔に つるべ取られて もらい水」この句の作者は、江戸時代を代表する女流俳人・加賀千代女(かがのちじょ)です。「朝早く、井戸へと水を汲みに出てみると、井戸の釣瓶に朝顔が蔦を巻き付かせ咲いていました。それを解くのは、なんだか忍びないので、近所の家へ水を貰いに行くことにしましたよ」という、よく知られた句ですが、女性らしい美しくも優しい情景が浮かぶ句です。

   ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2017.09.12(Tue) 14:55] 色彩Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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