TOP >
BACK | TOP | NEXT

リストマーク 桃始笑 

2018年03月11日 ()
  3月11日は七十二候の「桃始笑(ももはじめてさく)です。笑と書きますが「さく」と読みます。蕾がほころび、桃の花が咲き始める頃と言われています。この時期、梅は少なくなっているものの、桃や桜はこれからどんどん咲いていきます。

   今日の水彩画は、「満開の白梅」です。桃が咲くにはまだ早く、里山では梅の花が満開となっています。桃や桜に比べ花数の少ない白梅の花が、春の陽を浴びて薄く霞のように白く輝きます。
18-03-11.jpg

   「笑」と書いて「さく」と読みますが、「笑」と「咲」の漢字には深い関係があるようです。「笑」の漢字では、竹は竹かんむりではなく両手を広げている形で、巫女 (みこ) が手をあげ首を傾げて舞い祈る姿を表し、舞をささげられた神様が喜び笑う、という意味があるのです。「咲」については本来「口」に「笑」をつけた漢字で、「口元をゆるめて笑う」という意味があります。

  梅、桃そして桜と、色とりどりの花が順に咲く時期は、華やかな景色が春を彩ります。さて、梅、桃と桜のそれぞれの花の違いは、近づいてよく見ないとわかりません。まず花弁の違いは、桜は先割れ、桃は尖った花、梅は小さく丸い花弁です。つぎに花から伸びる花柄は、桜の花柄は長く、桃は花柄が短く、梅に花柄はなく枝に直接花が付きます。そして花の数を決める花芽は、桜の花芽はひと節に複数個あり、桃の花芽はひと節に2個、梅の花芽はひと節に1個です。こうして花の特徴がわかると、同じ満開でも、華やかな桜とすこし寂し気な梅の花の違いがよくわかります。

  おとうさん、桃の花!「桃始めて咲く!いい季節だねえ!梅子、桃子そして桜子、いいねえ若い娘は・・・」「あなた!どこの女の子の話ですか?」「いいや、春の花の話だ!梅に桃に桜、その美しさの違いは近づいてよ~く見ないと分からない、香りもかいでみないと!」「あなた!私はどうなの?」「どれどれ、梅干に桜花の塩漬けと、桃の缶詰!」「なんですって!私は保存食?」「それも賞味期限が・・」

  「さくらより桃にしたしき小家哉」 とは俳画を得意とする与謝蕪村の俳句です。小さな家に桃の花が咲いていて、このような家には桜より桃が似つかわしい、という意味ですが、まるで里山の春を絵に描いたように詠んでいます。
 桃には、果実が生る「実桃」と花を楽しむ「花桃」があります。実桃は黄桃や白桃など食用として栽培されるもので、花桃は園芸種として栽培されているものです。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2018.03.11(Sun) 17:20] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 啓蟄 

2018年03月07日 ()
  3月6日は、二十四節気の啓蟄(けいちつ)です。「啓」は「開く」、「蟄」は「虫などが土中に隠れ閉じこもる」という意味で、「冬籠りの虫が這い出る」という季節なのです。暦便覧では「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されています。柳の若芽が芽吹き、蕗の薹(フキノトウ)が顔をのぞかせるころです。

  今日の水彩画は、「木もれびの森の早咲き桜」です。春一番に咲く桜は河津桜でしょうか。花は何故か控えめに下向きに咲きます。一番早く咲く桜なのだからもっと胸を張ってもいいのに!春の陽差しの中でも、冷たい風に寒げに花弁を揺らします。
18-03-07.jpg

  蕗(フキ)は日本原産の多年草植物で、地下茎で広がります。蕗の薹(フキノトウ)は 蕗の花茎で葉茎より先に伸び、春一番に花を咲かせます。フキノトウは日本料理には欠かせない、早春を代表する山菜のひとつです。
  春の山菜には独特の苦みがありますが、じつはこの苦みやえぐみが、からだにはとても良いとされ、山菜を食べると、苦味や辛味が冬の間に縮こまっていたからだに刺激を与えて目覚めさせ、活動的にしてくれるといわれます。「春の皿には苦味を盛れ」という諺もあるそうです。

  おとうさん、啓蟄!「あなた!もう啓蟄ですよ!畑に出てください!」「俺は虫か?まったく・・・、畑を耕すかぁ!おっ!フキノトウが出ている!フキノトウの天ぷらで今夜は一杯!」「あなた、土手に座り込んで、ニヤニヤして・・・」「フキノトウを見つけたよ!別名をフキノシュウトメ(蕗の姑)という!麦と姑は踏むがよい、という諺からきていて、出すぎる姑も麦同様に踏むといいという意味なのだ!」「麦がどうかしましたか?」「いや、独り言です!姑という字も古い女と書くのだから、漢字は面白い!」「あなた、舅だって薄い男と書くじゃありませんか!」「聞こえているじゃねえか・・・・」

  フキノトウは油で調理することで特有の苦みが和らぐことから、手間をかけずにおいしく食べるには天ぷらが一番です。つぼみのままではなく、葉を開いた形にして、小麦粉または片栗粉を薄くまぶし、てんぷら粉に卵と冷水を入れ、もったりとする程度の衣を作り、絡めて油で揚げます。

  「蕗の薹藪の隅より現れし(ふきのとう やぶのすみより あらわれし)」とは正岡子規の句です。枯れ葉や雑草の中から顔をのぞかせたフキノトウを見つけると、春がきたなあ~と嬉しくなります。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2018.03.07(Wed) 22:03] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 霞始靆 

2018年02月24日 ()
  2月19日ごろから、二十四節気では「雨水」、空から降るものが雪から雨に変わり、雪が溶け始めるころという季節です。暦便覧には「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と記されています。実際には寒さや積雪が頂点となることから、この時季から寒さも峠を越え、いよいよ春が近づいてくることが感じられころなのです。昔から農作業の準備を始める目安とされてきました。

  今日の水彩画は、「春を告げる紅梅」です。まだ冷たい風が吹く林の中で、百花繚乱の春の始まりを告げるように、紅梅の花が咲いています。裸木ばかりの林の中で、ひとり派手な衣装をまとい、春の到来を告げながら舞っています。
18-02-23.jpg

  紅梅の木の断面はピンクの淡い紅色をしていて、白梅の木の断面は白っぽい色をしているそうです。紅梅の実は小さくて固く、白梅の実のように食用にはなりませんが、美しい淡い紅色の幹は、器や家具などを作る木材として人気があるそうです。

  おとうさん、梅の花!「いよいよ春~、梅は咲いたか桜はまだかいな~♪」「あれは紅梅ですねえ~きれい」「あのな、花が紅色だから紅梅とは限らないの、木の幹の断面が紅色だと紅梅、白色だと白梅だ!花ではなく木の種類なのだ!だから、紅梅の木に白花、白梅の木に紅花が・・・」「あなた!またややこしいことばかり!赤なら紅梅、白なら白梅でいいじゃありませんか!」「だから、本質は中味だと・・」「開いてみないとわからないあなたのお腹の中みたい!」「・・・・・・」

  七十二候では、今頃は雨水の次候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」です。春になると大気中に水滴や細かな塵が増え、また、霧やもやのために遠くの山や景色がぼやけて見えることがあります。また、煙や雲が上に上らずたなびいたように見えることもあり、こうした現象を古来より「霞(かすみ)」と呼んできました。
  近年、空気中に飛散するもののなかに杉花粉があり、花粉症の方には辛い時期になってきます。これは、PM2.5の様な微小粒子状物質には、物と物がくっつく力「分子間力」があるため、花粉などと結合して「悪玉花粉」になるのではないかといわれています。「春霞」は風情がありますが、花粉症による鼻水や涙は困ります。

  「春雨や いさよふ月の 海半」 与謝蕪村の句です。「いさよふ」はためらうという意味です。また、「海半」の読みは「うみなかば」です。春雨の雲間に、海面からためらうように月が顔を覗かせている、という絵のような情景が浮かんできます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.02.24(Sat) 11:01] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 魚上氷 

2018年02月16日 ()
今ごろは、七十二候の「立春」の末候「魚上氷(うおこおりにのぼる)」にあたります。「魚上氷」とは、温かくなって水の中の魚が氷の間からでてくるという意味です。ぽかぽか陽気でいよいよ春が来たかと思えば、翌日は真冬の気温に逆戻り、気温変化が激しいこの頃ですが、それでも陽ざしが強くなっていることから、春が近づいていることが体感できます。

  今日の水彩画は、「深山に歩み寄る春の兆し」です。雪に閉じ込められた深山にも、ようやく春めいた陽光が注ぎます。雪の重みに耐えてきた木々は、ほっとしたように肩に積もった雪を振り落とします。枯れずに残った緑の葉がやがて来る萌の季節を予感させ、草木を元気づけます。
18-02-16.jpg

  立春の七十二候は、初候が「東風解凍」、次候は「黄鶯睍睆」、そして末候は「魚上氷」で、春を告げるものばかりです。「東風解凍」は春を呼ぶ東風、「黄鶯睍睆」ではウグイスが春を告げ、「魚上氷」での春を告げる魚は「にしん」です。
春告げ鳥である「鶯(うぐいす)」は、「梅に鶯」と唄われるように、梅につきものですが、でも、梅の花に寄って来て蜜を吸うのは「うぐいす」ではなく「メジロ」です。それでは、「梅に鶯」とは・・・梅は春を待つ人々に咲きかけ、春告鳥とも言われるウグイスは春の訪れを歌い共に親しまれてきました。この二者を取り合わせることはこの上もなく春の訪れを盛り上げてくれます。取り合わせのよいもの、よく似合って調和しているもののたとえとして使われたことばなのです。
  
  おとうさん、春!「あなた!もう雪も融けたし、畑作業をしてくださいな!」「お~寒い!畑は凍っている!まだまだ炬燵で冬ごもり!」「なにを言っているんです!来週は雨水、昔から農作業の準備を始める目安です!」「畑に行くかぁ~」「あなた、熊に注意!あちらさんも冬ごもりから抜け出す頃ですよ!」「ひゃあ~、助けて!」

 古来より、日本人は、待ちわびていた春が来たことを、風や、鳥の鳴き声や魚で感じてきたのです。自然と共に生きていたからこそ、春の到来をいたるところから感じる感性が磨かれたのでしょう。

  「鶯の 覚束なくも 初音哉」 正岡子規の句です。覚束(おぼつか)なくも」とは、「たよりない、心もとない」という意味で、はじめて鳴く鶯ですから、頼りなさげに聞こえるのでしょう。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト

相模原市民ギャラリーで開催された個展は、盛況の内に無事終了いたしました。個展においでくださいました皆様、いろいろとご支援いただいた皆様に、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
来年も開催する予定です。 サム ヤマモト
[2018.02.16(Fri) 16:08] 季節Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 東風解凍 

2018年02月07日 ()
  今ごろは、七十二候の一つ目「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」です。春の兆しとなる暖かい東風(こち)が吹き始め、冬の間張りつめていた氷を少しずつ解かし始める頃という意味です。いよいよ春の暖かい足音が聞こえ始めてきました、と言いたいところですが、日本列島は数十年ぶりといわれる寒波に襲われ、福井県などの豪雪地帯では記録的な大雪が降り続き、幹線道路での大渋滞、除雪や雪下ろし作業の事故など、市民生活に重大な影響が出ています。雪国にとって春はまだ遠いようです。

  今日の水彩画は、「雪に埋もれた湯宿」です。先月の末に、白骨温泉に行ってきました。標高が1500mもある山奥の秘湯で、気温は-15℃近くまで下がります。凍てつく山間に朝陽がのぼると、雪に埋もれた温泉宿が浮かび上がります。山の木々を通り抜ける陽は、暖かな色で雪を照らし、まだ遠い春の色がのぞいているようです。
18-02-07.jpg

  2月7日は今年の「初午(はつうま)」です。「初午」とは、2月の最初の午の日で、京都伏見稲荷大社に祀られている農業を司る神様の宇迦御霊(うかのみたま)が降臨した日とされています。初午祭には、初午詣(福詣)する参詣者が訪れ、五穀豊穣、商売繁盛を願います。江戸時代には、この日に子供が寺子屋へ入門したそうです。また「初午稲荷」といって、稲荷寿司をお供えにする風習もあったそうです。

  おとうさん、初午!「おや、また夕食は寿司かい?ついこの間、恵方巻とかいって巻きずしを食べなかったかい?」「今日は初午です。お稲荷さんをお供えするんです!」「稲荷寿司のお供え?ついでにお神酒も二、三本お供えしておくれ!」「お狐さんはお酒を呑みません!」「どうりで、お酒がコンコンと鳴いていらぁ~」

  いなり寿司は、江戸時代より庶民の食べ物として親しまれてきました。味も形も地方によって特色があり、形は関東では四角、関西では三角というふうに分かれており、四角は米俵を、三角はキツネの耳を表しているそうです。味も様々で、長野県の松本地方では、ご飯にからしをぬって詰めた「からしいなり」、岐阜県白河町では、コンニャクを詰めた「コンニャクいなり」が名物になっているそうです。

  「初午に無官の狐鳴きにけり」 小林一茶の句です。稲荷は正一位稲荷大明神という官位を持っていますが、その稲荷に仕える狐は無官です。無官の狐が初午の日に鳴いたという、一茶の洒落でしょう。狐は田の神様の使いとされ、田のお祭りは狐塚で営まれていたことから、狐塚が稲荷社の起源ではないかともいわれています。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト

いよいよ、個展の開催日が間近となりました。

サム ヤマモトの水彩画個展(第五回)「木々の光と影と命」
場所 相模原市民ギャラリー 第一展示室
    JR相模原駅ビル セレオ相模原4階
日時 2018年2月9日(金)~2月12日(月)
     10時~19時(初日11:00より、最終日16:00まで)
この一年間に本ブログに掲載した透明水彩画の原画50点余りを展示します。美しい日本の風景をお楽しみください。
入場は無料ですが、チャリティ募金を行っています。チャリティにご協力いただくと、お好きな絵のプリントやカレンダー、画集を差し上げます。
皆様のご来場をお待ちしております。

サム ヤマモト
[2018.02.07(Wed) 16:55] 食べ物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


BACK | TOP | NEXT

カウンター

カレンダー

プロフィール

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

QRコード