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リストマーク 虹始見 

2018年04月18日 ()
  4月15日から七十二候では、二十四節気の清明の末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」で、春の雨上がりに空に初めて虹がかかる頃となります。春になり冬の乾燥した空気から、潤いがたっぷりの空気に変わり、雪が雨に変わり、地面もしっとりと潤い、花が咲き乱れ新緑が溢れる季節なのです。

  今日の水彩画は、「木もれびの森の枝垂桜」です。今年は、木もれびの森の枝垂桜の開花も早く、隣の山桜が散る前に満開となりました。森の広場の枝垂桜、木の陰からようやく朝陽が差し込んでくると、薄桃色の大きな髪飾りと柔らかなドレスを身にまとった女神のように、春の喜びを舞踊ります。
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  枝垂桜は早咲きのものと遅咲きのものとがあるようで、一重より八重の桜が遅いようです。長い枝を垂れ下げ、その先端にたくさん花をつける桜ですが、なぜ枝が垂れるのでしょうか。ふつうの植物の枝は強さと太さがあり、陽に向かって上に伸び続けます。しかし枝垂桜は、枝が細く重力に逆らえずに、下に垂れてしまうようです。

  虹とは、赤から紫までの光のスペクトルが並んだ、空に浮かぶ円弧状の光の帯です。陽の光が空気中の水滴によって屈折、反射されるときに、水滴がプリズムの役割をするため、光が分解されて、色の帯が見える現象です。現在では、虹の色の数は7色とされていますが、物理学的には無限の色があると見るのが正しいようです。

  おとうさん、初虹!「おお虹だ!お~い、見てごらん春の虹だ!」「あら、美しいじゃありませんか!虹が出ると雨が上がったってことよね!あなた、畑!今どきの雨は穀雨といって、畑には恵みの雨、作物が育ちますよ!」「あぁ・・あの虹のかなたに希望を見たのに・・・」「虹はすぐに消えますよ!畑、畑!」「あぁ~酷う・・・」

  虹色を7色と定めたのは、英国の物理学者ニュートンだそうです。当時の英国では虹の色は赤黄緑青紫の5色と考えられていましたが、ニュートンはオレンジ色と水色を加えて7色としました。ニュートンは虹色が無限にあることを知っていましたが、当時は7が神聖な数とされていたようです。昔は日本でも5色とされていましたし、今でも国によって色の数が違うようで、虹色の数は科学ではなく、文化の問題のようです。

  「初虹もわかば盛りやしなの山」 一茶の句ですが、めずらしく自然の風景を素直に詠んでいます。「虹」は夏の季語ですが、「初虹」となると春の季語となります。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.04.18(Wed) 10:52] 季節Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 鴻雁北 

2018年04月11日 ()
 七十二候では今頃は、清明の次候にあたり「鴻雁北(こうがん きたにかえる)」とあります。初候に「玄鳥至(つばめ いたる)」とあるように、日本にやってくるツバメと交替するように、雁(ガン、かり)が北の国へ帰っていく時季です。

  今日の水彩画は、「千鳥ヶ淵の桜」です。春の陽ざしを浴びて、満開の桜が皇居のお堀を覆います。紫禁(皇居)の桜だけあって高貴な紫色の影を水面に映します。
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  渡り鳥は3種類に分けられるそうです。ツバメのように、春に日本に帰ってきて子育てし、秋になると南へ旅立つ「夏鳥」。雁やオオハクチョウのように、寒さが厳しくなる頃日本にやってきて冬を越し、春には子育てのため北の国に戻る「冬鳥」。そしてシギやチドリの仲間のように、日本より北の国で子育てし、日本より南の国で冬を越す、渡りの途中で日本に立ち寄って休む「旅鳥」がいます。渡り鳥の渡る目的はやはり子育てのようです。 食べ物が入手しやすくヒナを育てやすい場所へと、体内時計を駆使して太陽や星座をたよりに移動します。

  里山では散って葉桜となった桜に替わり、山吹の黄色い花が満開となりました。山吹はバラ科の低木で、花には一重と八重があり、八重の山吹には実が生りません。山吹色という黄色は、梔子(クチナシ)の実を煎じて染めた色です。古今和歌集に「山吹の花色衣ぬしやたれ問えどこたえず口なしにして(美しい黄色の衣の持ち主を問うても返事がない、クチナシの実で染めた黄色なのだから)」という歌があります。イギリスでは山吹を、イエロー・ローズとかジャパニーズ・ローズと呼んでいるそうです。

  おとうさん、桜が散りました!「花見酒が呑めなかったなあ!でも、今は山吹の花が咲いているから花見だ!酒が呑める!」「あなた、山吹といえば~七重八重 花は咲けども 山吹の 実(酒)のひとつだに なきぞ悲しき~というわけで、お酒がありません!」「道灌できたか!八重の山吹は実がないが一重の山吹には実が付くのだ!うちに酒が無くても酒屋にはたくさんありますよ!」「あなた!山吹色はクチナシの実で染めます!だから返事しない、クチナシですから!」

  「山吹や宇治の焙炉の匂ふ時(やまぶきや うじのほいろの におうとき)」とは芭蕉の俳句です。宇治は茶の産地ですが山吹の名所でもあり、山吹が咲き誇っている、今頃は茶の焙煎のさかりできっと馥郁たる茶の匂いがあたりに満ちていることであろう、という香りを感じる句ですが、山吹の花に匂いは無いそうです。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.04.11(Wed) 21:07] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 清明 

2018年04月02日 ()
  4月5日は二十四節気の「清明」にあたります。清浄明潔つまり「万物がすがすがしく明るく美しい」ころです。暦便覧には「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」と記されています。この頃はお花見のシーズンですが、今年の首都圏では例年になく早くに桜が満開となり、4月5日ともなると花見も花吹雪か葉桜になってしまいそうです。

  今日の水彩画は、「満開の緋桜」です。ご近所にある桜の木(緋ザクラの木だと思いますが)が満開となりました。朝陽が差すと、桜が緋色に染まり、淡い緋色の着物をまとった舞姫が両手を広げて舞っているようです。桜の花の色が家々の屋根にも照り映えて、朝陽と共に緋色に染め上げます。
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  緋色というのは、和色では茜色のことです。陽が光り輝いているように、赤に黄色が差し込んだ色で、「火色」ともいわれます。この赤色は、植物の茜の根からとった染料の色です。日本茜はアカネ科の多年草の蔓草で、その根は髭状に細かく分かれていて、一年目のものは黄褐色ですが、二年目からは赤色になるそうです。

  清明の頃の天候は、晴れの日と雨の日が交互にやってくるのですが、畑に苗を植え、種をまく時期で雨が欲しい頃なのに、今年は晴れの日ばかり、畑作業に水運びが加わります。恵みの雨は穀雨まで待たなくてはならないようです。

  おとうさん、清明!「清々しく明るく美しい時期だ、桜の下でお酒を酌み交わし花を愛でる時だ!」「あなた!花見より畑です。畑を耕し、種をまき、苗を植えないと!水も運んでくださいな!」「はいはい!畑、畑!花見酒もなしか!雨が降らないねえ!今頃の雨を 花散らしの雨 というのだが・・、落ちそうで落ちないひとが雨ではらっと落ちる、ウッシシ・・・」「あなた!ぶつぶつ言っていないで、畑!」「はいはい!」

  清明の頃に、静かに降る雨を「発火雨(はっかう)」とか「桃花の雨(とうかのあめ)」などと呼ばれています。萌え始めた若葉が雨に濡れていっそう清らかに見え、この頃の雨もまたいいものなのですが、降りませんねぇ・・・。

  「扇にて酒くむ陰や散る桜」とは芭蕉の句で、桜の花の木陰で、ふと扇で酒を汲む所作を真似てみると、自分の上に桜がはらはらと散りかかる、という風流な句です。やはり桜の木の下ではお酒がつきものなのでしょう。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2018.04.02(Mon) 21:23] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 桜始開 

2018年03月26日 ()
  3月26日からは、七十二候では「桜始開(さくらはじめてひらく)」となり、桜の花が咲き始める頃で、いよいよお花見の季節の到来です。東京では、今年は開花が平年に比べ9日ほど早く17日に開花と宣言され、昨日で満開となりました。これから、東北、北海道へと桜前線が北上していきますが、北へ行くほど開花から満開までの期間が短くなるそうで、北国は一気に花開く春を迎えます。

  今日の水彩画は、「満開の御苑の桜」です。いよいよ桜満開の季節がやってきました。春の陽ざしを背に受けて、桜が一斉に花を開きます。こぼれそうなほどに花をつけた枝が春風に揺れて、土手下の水際にむけて花達を誘います。
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  日本の色名に桜色(さくらいろ)という色がありますが、ほんのりと色付いた淡い紅色のことです。紅染めの中でもっとも淡い色で、山桜(ヤマザクラ)の花の色とされ、平安時代から使われていました。いまではすっかり桜の代表格となったソメイヨシノは江戸末期に品種改良された桜で、もう少し紅色が濃い花です。桜鼠(サクラネズミ)という色もあります。淡い紅色に檳榔樹の灰色あるいは薄墨色が加わり、わずかにくすんだ薄い桜色のことです。いわゆる墨染(すみぞめ)の桜です。

  おとうさん、桜が満開!「いいねえ、酒なくて何の己が桜かな・・・やはり満開の桜ときたらお酒でしょう!こうして桜の木の下で若い女性相手に、燗酒を差しつ差されつ・・・ぬる燗だねえ、そのうち女性の頬がちょっぴり桜色になって・・・・ウッシッシ」「あなた、冷めたお茶の入ったお茶碗をあっちに寄せ、こっちに戻しながらニヤニヤ、ブツブツ、どうしましたか?大丈夫ですか?暖かくなってきたから、春ボケですか・・・・」

  薄紅色には、一斤染(いっこんぞめ)という色があります。一斤染は、染料の紅花一斤(600g)で絹一疋(二反)を染めた淡い紅色のことです。平安時代は高価な紅花染めの濃い紅は「禁色(きんじき)」とされ、天皇の許可がない限り着用が禁止されていました。一斤染(薄い紅染)の場合は、「ゆるし色」として身分の低いものの着用が許されました。春の桜の季節に、桜の花のような「ゆるし色」の着物を着て、身分が低いとはいえ風流で上品な暮らしをしていたのでしょう。

  「初桜折りしも今日は良き日なり」とは芭蕉の句です。「境内には初桜が咲いて、今日は句会の発足にふさわしいよい日だ」という意味ですが、桜の季節は卒業式や入学式、入社式と新たな門出の季節でもあります。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2018.03.26(Mon) 17:01] 色彩Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 菜虫化蝶 

2018年03月16日 ()
  3月16日からは、七十二候の九番目の「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」です。菜虫とはダイコン・カブ・ハクサイなどアブラナ科に属する菜類を食べる昆虫の幼虫の総称です。この時期は、サナギとして冬を乗り越えた幼虫たちが、蝶になる頃なのです。野菜畑の天敵ともいえる青虫の卵を産み付けるモンシロチョウですが、親の蝶はまた受粉を助ける益虫でもあり、農家にとって、幼虫は敵だけど親は味方にもなるという複雑な関係にあるのです。

   今日の水彩画は、「満開の彼岸桜」です。暖かい陽差しに誘われて、彼岸桜が早めの花を開きます。春の陽に照らされた白い花弁が薄紅色の影のなかに浮かびあがる様子は、穏やかな祈りをささげているようです。
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  3月16日は「十六団子」の日でもありました。田の神様が山から里へ下りてきて、これから始まる農作業を見守り、秋の収穫が済むと山に帰っていくという信仰からきたもので、神様が来る3月と帰っていく10月に、16個の団子を作ってお供えをしました。今でも東北地方の一部ではこの風習が続いているそうです。

  このブログでも度々登場する暮らしの歳時記ともいえる「二十四節気」や「七十二候」は、太陽の動きが基準なので、毎年同じ時期に同じ節気がめぐってきます。節気の間隔は一定で、季節の変化に対応するので、天候に左右される農作業の目安として大変便利なものでした。今でも年中行事や時候の挨拶などに使われています。
「二十四節気」は1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらに6つに分けた24の期間をいいます。そしてこれをさらに初候、次候、末候の5日ずつにわけて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが「七十二候」です。

  おとうさん、蝶!「モンシロチョウがひらひらと、春だねえ・・・」「あなた、モンシロチョウは青虫の親です!青虫は野菜の天敵です!」「モンシロチョウを捕まえろって?無理!夜の蝶なら得意だがなぁ~!」「網です!防虫網で防いでくださいな!」「農薬ではだめ?」「あなた!うちは無能役栽培ですよ!」「字が違っている・・・」

  「蝶の飛ぶばかり野中の日影哉」とは芭蕉の句です。春の野原はただ日の光がいっぱいで、そこを過ぎるのは蝶だけなのだなあ、という意味です。「日陰」とは物にさえぎられて日光が当たらない所ですが、「日影」となると、日の光、日ざしなどの意味となり、太陽の光そのものをさします。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2018.03.16(Fri) 16:13] 昆虫Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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