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リストマーク 獺祭 

2017年02月20日 ()
   2月18日からは二十四節気の雨水が始まりました。空から降るものが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になる、という季節で、農耕の準備を始める目安とされてきました。先日も春一番が吹きましたが、本格的な春はまだ遠く、春のような気温になったり、大雪が降ったりと、三寒四温を繰り返しながら、春に向かっていきます。暦便覧には「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と記されています。

   今日の水彩画は、「木もれびの森の河津桜」です。まだ暗い森を背景に、いきなり上ってきた朝陽に照らし出され、ライトを浴びた夜桜のように桜花を輝かせて、百花繚乱の春の始まりを告げています。
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   七十二候では、雨水の初候に「土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる)」とあり、徐々に気温の高い日も増え、暖かい雨が降り凍っていた土もゆるみ潤い始める頃、といった意味です。春の訪れを何によって感じるかは、風土によって違いがありますが、この土脉潤起は、中国から七十二候が渡って来た時に、日本の風土に合わせて内容が変えられた候のひとつです。もともとは、「獺魚祭(かわうそうおをまつる)」で、獲った魚を、人が祭壇にまつるように並べる習性を持つ獺(カワウソ)の様子を季節に表した候だったそうです。氷が解けた水辺で魚を獲り、嬉しそうに並べる獺(カワウソ)も春の訪れを喜んでいたのでしょう。

   おとうさん、雨水の候!「そう~雨水とか土脉潤起とかという春だなあ!土脉潤起は中国の暦では獺祭魚とされていて、日本酒の獺祭につながるのかなあ?お酒吞みたいなあ~」「あなた!またお酒の話ですか?カワウソだって魚を獲るのですから、そろそろ畑を耕してくださいな!」「はい!はい?カワウソだって?・・・カワウソは昔から美女に化けて男を騙すというが、うちのカミさんはカワウソの化身?でも美女かなあ~」「あなた、今夜の肴は川魚の干物にしますか?」「・・・やはり・・」
  辞書によると、獺祭のもう一つの意味は、「詩文を作るときに、多くの参考書をひろげちらかすこと」とあります。正岡子規はその居を獺祭書屋と号したそうです。

   「さまざまのこと思ひ出す櫻哉」とは芭蕉の句です。このとき芭蕉の脳裏には、唐の劉廷芝の詩が浮かんだのではともいわれます。「古人無復洛城東 今人還対落花風 年年歳歳花相似 歳歳年年人不同 (昔、洛陽城の花を楽しんだ人達は既に亡く、今私たちは花の散るのを見て嘆いている、毎年美しい花は同じように咲くが、この花を見る人は皆ちがう)」。桜の木には、それぞれの物語が秘められているようです。

   ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.02.20(Mon) 14:40] 動物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 鱖魚群 

2016年12月20日 ()
  12月中旬は、七十二候の「鱖魚群(さけのうおむらがる)」で「大雪」の末候にあたり、鮭が群れをなして川を上っていく頃をいいます。
 「立春」に始まる二十四節気も「大雪」が終わると、もう「冬至」、「小寒」、「大寒」を残すだけとなり、年のせいか時の過ぎるのが早く感じます。歳月人を待たず(時を逃さず大切にして勉学に励め)といいますが、まだまだ学ぶことが沢山あるものです。

 今日の水彩画は、「落ち葉の散歩道」です。枯れ葉や裸木ばかりとなった森に朝陽が射し込むと、木々や枯れ葉が赤く輝き、命の温もりが蘇ります。木間を抜けた陽が散歩道を照らし、落ち葉の柔らかな絨毯が光の中に誘います。
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  鮭の遡上は秋に始まり1月中旬頃まで続きます。冬に川で産まれた鮭の稚魚は、春に川を下り、アラスカ沖の海で3〜4年過ごして成長し、再び生まれた川に産卵のために戻ってきます。1万数千キロもの長い旅をして、間違わずに生まれた川に戻ってくる習性は、生まれた川の臭いでわかるという説、太陽の位置などを目安に帰る説など、いろいろ推測されていますが、まだよくわかっていないようです。

  鮭の身は赤身ですが、実は「白身魚」なのです。あの身の赤色はもとから赤いわけでなく、オキアミやエビなどを食べることで赤くなるそうです。この「アスタキサンチン」という赤い色素を含んだ成分は強い抗酸化作用があり、アンチエイジング効果があるそうです。鮭の卵のイクラが赤いのも、鮭の母親が卵を守るために体内で赤色を移動させるためで、冬の間イクラの表面は赤い成分により丈夫になり、中の稚魚を守っているのだそうです。産卵を終えた鮭はその身を真っ白にして生涯を終えます。イクラの赤い色は、親鮭の愛情の証だったのです。

  おとうさん、鮭鍋の季節!「秋味だなあ!鮭は頭から尻尾までどこも酒の肴になるなあ、酒がイクラあっても足りない、なんちゃって!」「あなた、鮭といえば、ああ~脂ののった“時知らず(若い鮭)”が食べたいわ!」「おいおい、時知らずがイクラするか知っているのか?」「じゃあ~高脂血症のあなたには、脂のない安いホッチャレ(産卵を終えて瀕死の状態で流れてくる鮭)にしときますか!」「・・鮭より酒にしとく・・」

 「寒月や 門なき寺の 天高し(月が冴える寒い夜、門のない小寺の上には、澄み切った空が高く広がっている)」 蕪村の俳句で、 俳画を得意とする蕪村らしく、絵に描いたような情景を清々しい雰囲気で詠んでいます。

ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2016.12.20(Tue) 15:28] 動物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 熊蟄穴 

2016年12月15日 ()
  12月12日〜16日頃は七十二候の「熊蟄穴(くまあなにこもる)」にあたり、クマが冬眠に入る時季です。
 冬眠中のクマはカエルやリスのように深く眠るわけではなく、ウトウトしている状態、つまり「冬ごもり」なのです。3〜4時間おきに起きて、毛づくろいや寝返りする程度は身動きしているようです。メスのクマは冬ごもり中に出産します。母熊は1〜2頭の子熊を、飲まず食わずで、排尿排便もせずに、母乳で育てます。冬ごもり明けの母熊の体重は、4分の3くらいに減っているといわれます。

  今日の水彩画は、「柔らかな朝陽に目覚める初冬の森」です。昨夜の木枯しで多くの葉を吹き落とされてしまったクヌギの木ですが、まだたくさんの枯れ葉を残し、朝陽に輝きます。柔らかな初冬の陽は、枯れた草木の葉や裸になった枝を温め、春に芽生える命を育み始めます。
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  近年、熊が里に出没し、人間に危害を加えるという報道が急激に増えています。本来は人間と熊の生活圏は離れていて、お互いに侵犯することは少なかったのですが、人間の居住地域が拡大したために、お互いの食料採取の領域が接近または重複することで、衝突事故が多発するようです。
 人間とクマの衝突事件が多く起こるのは、冬ごもり前の準備期間の秋が危険ですが、それ以上に危険なのは冬ごもり明けの春です。冬ごもり明けの熊は空腹なので気性が荒く、子連れのメス熊は攻撃的になり、最も危険な時期といわれています。

  おとうさん、十二月も中旬!「そうだなぁ~、暦では熊穴に籠るという時期だ!ううっ寒い!炬燵に入ってと」「あなた、炬燵から出て年末のお掃除でもしてくださいなっ!まるでクマの冬ごもりですよ!」「おれは熊と違って呑んだり食ったり、トイレにもいくぞ!」「お腹に脂肪をため込んで、炬燵に籠る生態はまるで熊!それに炬燵穴に子熊が二匹生まれてました!」「それは、炬燵で脱いだ靴下?・・・」

  「冬ごもり妻にも子にもかくれん坊」 と炬燵の中にもぐり込んで隠れて居たいのは蕪村も同じみたいです。
 暖かい穴に籠るとなかなか出られないのは、熊だけじゃなくて人間でも同じようで、炬燵とミカンとテレビがあれば何時間でも籠り続けられます。この冬籠り状態から脱出できずに、トイレも我慢して居続けていませんか?人間は「心地よい状態」から「不快の状態」に移動するのは、頭でわかっていても体が動かないようです。

 ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2016.12.15(Thu) 16:03] 動物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 蟄虫坏戸 

2016年09月29日 ()
  9月28日ごろからは、七十二候では秋分の次候、蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)にあたります。これは、外で活動していた虫たちが再び土の中に潜って穴をふさぐことをいいます。寒さに備えて「戸を塞ぐ」というところが、虫のかわいらしさが出ています。虫たちは「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」という啓蟄の春が来るまで、穴に閉じこもっているのです。

  今日の水彩画は、「仲秋の渓谷の小滝」です。秋の長雨で水かさの増した流れが、岩の段差を勢いよく滑り下ります。滑り落ちた流れが、秋の陽に照らし出されて白く輝き、轟々と泡立ち渦を巻きながら流れ下ります。
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  巣籠もり虫たちの、寒さを恐れる感覚は鋭く、クヌギ林のカブトムシなどは、あっというまに土にもぐってしまうそうです。オオクワガタも、やはり土や朽木の中に潜り込みます。オオクワガタは冬篭りするとき、エサを食べないといわれ、お腹をすかせたままで冬眠に入ってしまうのでしょうか。穴に閉じこもるのは虫だけではなく、ヘビも寒くなると土の穴に潜り込みます。ヘビは、秋彼岸に穴に入って、春彼岸に穴から出ると言われていますが、実際には10月に入ってから穴に入るようです。

  おとうさん、もう10月!「9月ももう終わりだなぁ~そうだ!10月1日は日本酒の日だった!お~い、日本酒だ!実りの秋、山海の幸が出そろう味覚の秋・・旨い肴に、旨い日本酒!日本の秋を堪能したいね・・・」「あなた、勝手に日本酒の日なんぞ作って、秋は黙っていても来ますが、お酒や肴は待っていればやってくるわけじゃありませんよ!」「畑にいって、里芋でも掘るかぁ・・・」

  「日本酒の日」というのは本当にあるようです。酒や酒に関わる漢字の酌、酔、酩、醸・・には「酉(とり)」という字が付いています。「酉」は酒壷を表す象形文字で、もとは「酉」だけで酒を意味していました。この「酉」は十二支のトリでもあり、10月にあたります。穫り入れた新米を使い、酒造りを始める月なので「酒の月」ともされ、酒造りの年の初めの日である10月1日が「日本酒の日」となったそうです。

   「山里や 杉の葉釣りて にごり酒」小林一茶の句です。杉玉は球状に刈り込んだ杉の葉を酒屋さんが軒下に吊り下げて、今年も新酒ができました、という目印にするものです。新酒の目印である杉玉ですが、江戸後期以前では、杉の小枝を束ねて(酒林)竹竿に吊るして店先に立ててあったようです。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2016.09.29(Thu) 08:03] 動物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 鶺鴒鳴く 

2016年09月14日 ()
  いまごろは、七十二候の四十四番目、二十四節気の白露の次候「鶺鴒鳴(せきれいなく)」にあたります。鶺鴒(せきれい)が鳴き始めるころ、という意味です。鶺鴒はチチチチチという高い鳴き声で鳴き、水辺に棲みますが、民家の軒下や石垣にも巣を作り、街中でも見られる身近な存在です。伸ばした尾を上下に振りながらちょこちょこ歩く様子からイシタタキや庭タタキなどの異名がつけられました。

  今日の水彩画は、「吹割の滝」です。先日群馬県沼田の「吹割の滝」を見に行ってきました。台風の大雨になる直前の晴れ間を縫って、平日の早朝車で出かけました。早朝の滝はまだ薄暗く、朝陽が差すのを待っていると、谷の木々の先に陽が当たりはじめ、滝の上部にも陽が射します。濃紺の水面が砕け、吹き割れた谷に三方から大量の水が流れ落ち、水煙とともに滝が眩しく浮かび上がります。
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  吹割の滝は、古代の火山活動でつくられた溶結凝灰岩が片品川の流れによって浸食されてできたV字谷に向かって、三方から川が流れ落ちる雄大な滝です。「東洋のナイアガラ」とも呼ばれているそうです。川沿いには遊歩道がありますが、対岸の道は熊が出没するために通行止めになっていました。川原では鶺鴒を見かけました。
  鶺鴒が鳴くのは秋に限ったことではないのですが、 暦ではどうしてこの時期に「鶺鴒鳴(せきれいなく)」としたのでしょう、セキレイの高く細く鳴く声が秋の透明な空気によく響くからなのでしょうか。
  楽器の演奏などしない私にはわかりませんが、ピアノの「ブルグミュラー25の練習曲」の中に「La bergeronnette」という曲があるそうです。これはフランス語で「せきれい」を意味するそうで、鶺鴒の鳴き声をまねたかのような高音のリズミカルな曲だそうです。実際の鶺鴒の秋のさえずりは縄張り争いのようなので、あまりロマンチックなものではなさそうです。

   おとうさん、仲秋の候?「秋も秋、鶺鴒鳴くという季節だ!でも何故この時期に鶺鴒が登場するのだろう?」「あなた、秋の陽の釣瓶落としですよ!早く畑仕事を終えてくださいな!」「そうか、わかったぞ!鶺鴒の尾を上下に振る仕草は、早く耕せ!と言っているのだ、暦の鶺鴒は秋の農作業を示しているのかぁ!」「あなた、早くしてくださいな!」「はい、はい、・・鶺鴒はチチチチと鳴く、遅々爺かな?・・・ふう・・・」

  正岡子規の句に「鶺鴒や岩を凹める尾の力」とあり、少々大げさですが、 「いしたたき」とか言われる鶺鴒の激しい尾の動きをうまく詠んでいます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2016.09.14(Wed) 21:13] 動物Trackback(0) | Comments(1) 見る▼
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