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リストマーク 盈満(えいまん) 

2016年05月23日 ()
  五月二十日は、二十四節気の小満(しょうまん)です。万物の成長する気が次第に長じて天地に満ち始めることから小満といわれています。暦便覧には「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」と記されています。「盈満」とは、全てのものが満ちあふれること、という意味を持っています。

  今日の水彩画は、「草木が生い茂る初夏の森」です。草木が生い茂る初夏の森に、朝陽が射し込み葉や枝を照らします。草木がのびのびと枝葉を伸ばし、森の中に様々な命が満ち溢れ、陽の光に輝きます。
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  「満ち溢れる」といえば、先日、東京都美術館に「若冲展」を見に行きましたが、この若冲の名前は、老子の言葉「大盈若冲 其用不窮」に由来しているようです。これは「大盈(たいえい)は冲(むな)しきが若(ごと)く、その用は窮(きわ)まらず」と読み、意味は「本当に満ちている物は空っぽに見えて、その働きは枯れる事が無い」というもので、尽きることがない若冲の才能を見て、売茶翁という禅僧が名付けたそうです。
  ところで「若冲展」ですが、素晴らしい!の一言でした。行列に4時間並んで見た甲斐がありました。若冲は動植物を細部にわたり観察し、微細な所まで手を抜かずに独自の画法で描き切っています。その徹底したこだわりと超人的な技に、すごい!という言葉しか出てきませんでした。

  おとうさん、若冲ですか?「4時間も並んで見てきたのだ!」「あなた、よく我慢できましたね~」「若冲が約十年の歳月を費やして描いた釈迦三尊像三幅と動植綵絵三十幅が一堂に会し、初めて公開されるのだ!生きているうちに見られるのは、これが最後の機会になるかも!と思って頑張った~」「へぇ~!すごい展覧会なのですね!人気が過熱するのも無理もないわね!それにしても、あなた4時間の行列に耐えて、よく生きて見られたわねえ~」「・・・・見に行きたかった、生きたかった?・・・・・」

  「行々てここに行々夏野かな」与謝蕪村の句です。広々とした夏野を旅人がひたむきに進んでいく、行き行き、歩みに歩んで、ようやくこここまで来たが、ここで旅が終わったわけではない、旅は果てしなく続く、という意味です。4時間の行列に並んで歩いているみたいです。
  与謝蕪村は、俳句と絵が響きあう俳画を得意としましたが、伊藤若冲とは同い年で、ともに300年前にあたる1716年生まれです。この二人の天才、ある時期、京都ではすぐ近くに住んでいたことがあったそうで、どこかで顔を合わせていたかも・・・。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2016.05.23(Mon) 19:07] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 蛙始鳴 

2016年05月08日 ()
  五月五日は立夏で、暦便覧には「夏の立つがゆへ也」とあり、この日から立秋の前日までが夏です。野山が新緑に彩られ、夏の気配が感じられるようになります。
 七十二候での立夏の初候は「蛙始鳴(かえる はじめて なく)」で、カエルが鳴き始めるころです。カエルが冬眠から覚めて鳴き始めるのではなく、春になって、雄のカエルが雌のカエルを呼んで、やかましく鳴くことをいいます。

  今日の水彩画は、「初夏の陽に輝く川の流れ」です。初夏の陽に輝きながら、川は新緑の谷間を流れ下ります。谷間の木々には若葉が生き生きと茂り、川は水面に映る若葉色を流れに乗せて、命の輝きを煌かせながら運びます。
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  「こどもの日」の五月五日は端午の節句です。江戸時代に、節句に飾る「菖蒲(しょうぶ)」が武を重んじる「尚武(しょうぶ)」に通じることから、「端午の節句」は「尚武の節句」として、男の子が無事成長し一族の繁栄を願う行事となりました。菖蒲といえば菖蒲湯ですが、元々は邪気や悪鬼を祓う薬草とされていた菖蒲を、軒にさしたりお湯に入れて無病息災を祈っていたようです。
  風呂好きの日本人のために、一年十二ヵ月それぞれの薬草風呂があるそうです。1月の松湯に始まり、2月大根湯、3月蓬湯、4月桜湯、5月菖蒲湯、6月どくだみ湯、7月桃湯、8月薄荷湯、9月菊湯、10月生姜湯、11月蜜柑湯、12月の柚子湯です。

  おとうさん、お疲れ!「ひと仕事終わって、ひとっ風呂浴びて冷たいビールをキュウと!」「あなた、お疲れさま!お風呂にします?菖蒲湯ですよ!」「いい風呂だ~、菖蒲を浮かして疲れがとれるぅ~」「はいっ!お風呂上りに、冷たいお茶にお団子で勝負!」「・・冷たいビールは?」「今日は子供の日、端午の節句ですからお酒はなし、それに団子の節句ですから・・・」「おまえ・・なにか間違っていないか?・・・」

  日本人はカエルが好きなようで、江戸時代にはいい声のカジカガエルを飼育して、その鳴声を楽しみました。日本人のカエル好きは、稲作とつながりがあり、カエルは雨を予告したり、害虫を食べたりするので、水田での稲の生育に役立つ田の神の使いと考えられ、信仰の対象にもなっていたようです。
  「痩蛙負けるな一茶是にあり」は小林一茶54歳の句で、幼くして亡くなってしまう病弱の子ども千太郎の命乞いをする句だといわれています。一茶はオス蛙が数の少ないメス蛙を取り合っている蛙合戦を見て詠んだようで、カエルにしてみれば凄絶な戦いなのでしょうが、どこかユーモラスな光景が目に浮かびます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2016.05.08(Sun) 16:04] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 鳥帰る 

2016年04月14日 ()
  七十二候での清明の次候には「鴻雁北(こうがんかえる)」とあり、雁や鴨が北へ帰る頃で、種蒔き時期とされています。初侯は玄鳥至でしたので、雁が北に帰り、燕がやってきて、渡り鳥の交代です。雁などは秋に北からやって来て、春になると北に帰って行きます。これが「鳥帰る」で、仲春の季語になっています。渡り鳥の行き来を見て、昔の人たちはこれを暦がわりにして、農作業や暮らしの目安にしてきました。

  今日の水彩画は、「千鳥ヶ淵の桜花」です。今年も桜満開の時期に千鳥ヶ淵を訪れました。世界中から人々がお花見に集まったかのようで、大変な混雑でした。お堀の土手の桜が満開の花を付け、重たげにお堀の水面に枝を伸ばします。初夏のような春の陽ざしを浴びて輝く桜は、乾いたのどを潤すように、みなもに近づきます。
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  千鳥ヶ淵は皇居(江戸城)西側の内濠のひとつで、千鳥ヶ淵緑道と遊歩道に沿って合わせて400本近い桜が一斉に花開き、都内でも有数の桜の名所です。
 江戸幕府が開かれると、幕府は江戸城の防衛と城下の治安維持のため諸大名に濠の整備を命じます。城を取り巻くのが内濠、町を囲むのが外濠です。千鳥ヶ淵は内濠ですが、近くの半蔵門から甲州街道(新宿通り)を西に向かうと、四谷見附(現在の四ツ谷駅)の門があり、ここに今は埋め立てられた四谷濠(真田濠)という外濠がありました。外濠の中で、担当大名の名が付いているのは真田濠だけですが、工事には真田信之だけではなく、仙台の伊達や米沢の上杉などが参加していたようです。
 私の花見コースは、地下鉄半蔵門駅を降りて、新宿通りを半蔵門に向かい、半蔵門からお堀に沿って、千鳥ヶ淵遊歩道と千鳥ヶ淵緑道を田安門(北の丸公園)まで歩き、九段下駅で地下鉄に戻ります。江戸城の姿を想像しながらの花見となります。

  おとうさん、お花見?「やっと花見酒だ!千鳥ヶ淵の桜は見事だね!江戸城のお堀だ!」「江戸で花見をしているみたいねぇ~」「喉が乾いたぁ~、一杯行こうか」「ハイハイ!注いであげますよ、あなた!」「ありがとうょ!ぐいっと・・・なんだ?お茶けかぁ~」「公園ですよ、お酒はだめですよ!」「それに、つまみは漬物の沢庵!これじゃ長屋の花見だっ!」「おまえさん!長屋の花見、江戸情緒たっぷりじゃないですか~」 
  
  「さまざまの事おもひ出す桜哉」 芭蕉が伊賀上野を訪れ、かつて仕えた藤堂家の庭で、満開の桜を愛でながら、亡き主人を想い詠んだ句のようです。多くの日本人は、桜に関わるさまざまな思い出や思いを持っていて、喜びや悲しみも、懐かしさも満開の桜花に包み込まれて、それぞれの心の中で咲いているのでしょう。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2016.04.14(Thu) 10:09] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 桃始めて笑く 

2016年03月12日 ()
  今頃は、七十二候の啓蟄の次候にあたり、「桃始めて笑く(ももはじめてさく)」で桃の花が咲き始める季節です。桃の花は、新暦のこの時期はまだ蕾が硬く笑うまでにはまだ時間がかかるようです。太陽がもっと大地を暖め、大気を暖める今月下旬頃から笑い始めるようです。

  今日の水彩画は、「雪上の春の足跡」です。3月初旬に菅平にいってきました。暖冬で雪が少なく、雪深い景色ではありませんでしたが、春の残り雪を描いてみました。雪が融け始めた斜面に低木や笹が顔を覗かせ、雪の上に人やけものが歩いた後が残ります。まるで暖かな陽ざしをつれてきた春の足跡のようです。
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  好きな雪景色の絵に、クロード・モネの「かささぎ」があります。雪に覆われた田舎の静寂の世界、逆光に輝く雪と黒く浮かび上がる一羽の「かささぎ」。日が当たる雪の部分は、白色の厚塗りをして雪の質感を出し、その上に、赤や黄や青の鮮やかな色を散りばめて、雪の光と色彩を描き出しています。オルセー美術館展「印象派の誕生」で実物を見たときには、これだけ厚塗りをして描くと、さぞや絵の具代がかさんだことだろうと思いました。透明水彩画では、白の絵の具は使わず紙の白地をそのまま使うことから、雪景色は最も絵の具代がかからない絵ということになります。

  おとうさん!桃の花開く!「春だねぇ・・桃といえば、花は華やかで可憐、実は瑞々しく柔らかく・・・桃かぁ~いいなぁ~」「あなたっ!桃子?また、どこぞの若い子の話ですかっ!きぃ~っ!」「なあ~、爺と婆の桃といえば、桃太郎だろう・・・」「あらっ!桃太郎の話ですか・・・」「ふう~危うい!やはり“桃は魔除け”だあ・・・・」

  「故郷や どちらを見ても 山笑う」 正岡子規が故郷の春を詠った俳句です。「笑う」とは花や芽が開くことをいうようです。「山が笑う」という言葉は、中国の北宋の山水画家である郭煕の画論「臥遊録」の中の、「春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如く」からきているとされています。
 山や花が「笑う」という擬人化された表現は、自然に対する親しみとやさしさを感じさせます。東日本大震災から5年がたった今、家をなくし肉親をなくされた方が、「なにもかも無くなってしまってけれど、まわりの山並みは変わっていない、やはりここに住みたい・・」と語っているのを聞くと、春が来ても山は笑わず、泣いていたのかと思いました。しかし、前向きで生きる気持ちが「山を笑わせ」、春を呼ぶような気がします。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2016.03.12(Sat) 17:11] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 鶏始乳(にわとり はじめて とやにつく) 

2016年01月30日 ()
  いまは、七十二候の大寒の末候の鶏始乳(にわとり はじめて とやにつく)にあたり、鶏が卵を産み始める時期といわれます。本来、鶏は寒い時期には卵を生まないものらしく、大寒の終わり頃に徐々に昼間の時間が長くなると、春を感じて卵を産み始めるといわれています。「鶏始乳」は七十二候の最後の候で、二月になると立春となり、旧暦でいうお正月、一年の暦の始まりになります。

  今日の水彩画は、「木もれ日の森の残り雪」 です。木もれ日の森に降った雪が、寒さが続く中でまだ融けずに残っています。枯れ葉に彩られた残り雪が、柔らかな冬の朝陽に輝きます。切り落とされた木の枝や積もった枯れ葉の下で、雪解けの春を待っている草の新芽や虫たちが、陽に誘われて顔を覗かせてしまいそうです。
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  鶏は五千年前インドで野鶏が家畜化されたものといわれ、日本には、古墳の埴輪に鶏の形があることから、二千年以上も前に中国から渡来したものとされています。大昔から庭先で飼育されていた鶏は、当然のことながら肉も卵も食べられていましたが、仏教が伝わると肉食を禁忌する風習が広まり、表向きは食べられなくなりました。鶏肉や卵が食べられるようになったのは、室町時代になってからのようです。江戸時代の「ゆで卵」は1個二十文だったそうですから、庶民には高価な食べ物でした。一般の家庭で卵が多く食べられるようになるのは昭和30年以降のことだそうです。

  おとうさん、お昼?「昼飯は?親子丼かぁ・・卵が先か?鶏が先か?生命の始まりに関わる疑問だ!鶏が居なけりゃ卵は産まれない、その鶏は卵から産まれる?」「あなた~なにをブツブツ?冷めてしまいますよっ!親子丼!」「鳥は恐竜が進化したものだから、恐竜も卵から産まれたとすると、卵から鶏が産まれたのが先だ!」「あなた、どこか悪いの?お酒の話ではないのね?」「いや~卵か鶏か?どちらからさきに食べようかと思って・・やはり卵から!」「あなた・・ふう!どこも悪くなさそう・・」

   「雪とけて村いっぱいの子どもかな」 一茶の句です。雪国の長い冬の間、家に籠っていた子らが、雪が解け出すといっせいに外へ出て遊び、村中が子どもたちでいっぱいになる。雪から解放されて春を迎える雪国の人々の喜びが溢れています。
 二月になると立春を迎えますが、一年で一番寒い時期でもあります。エルニーニョ現象で暖冬の予報でしたが、異常低温注意報が出るほどの寒さと降雪です。一昨年の週末になると襲ってきた週末寒波を思い出します。もともとエルニーニョ現象は、異常気象をもたらすことを意味するそうですから、注意が必要です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト

相模原市の市民ギャラリーで個展を開きます。お近くの方、お気軽に足を運んでください。入場無料です。

サム ヤマモト水彩画個展(第三回)「木々の光と影と命」
開催場所: 相模原市民ギャラリー 第一展示室
   (JR相模原駅ビル セレオ相模原4F)
日時:    2016年2月12日(金)~2月15日(月)
        10:00~19:00(初日11:00より、最終日16:00まで)
[2016.01.30(Sat) 11:30] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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