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リストマーク 立冬 

2017年11月07日 ()
  11月7日は二十四節気の「立冬」です。初めて冬の気配が現われてくる日で、「立」には新しい季節になるという意味があり、立春、立夏、立秋と並んで季節の大きな節目です。暦便覧では、「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」と記されており、朝夕冷えみ、日中の陽射しも弱まって来て、冬が近いことを感じさせる頃です。この日から立春の前日までが冬となり、寒く厳しい冬始まりです。

  今日の水彩画は、「深山の紅葉」です。人里離れた山並みに紅葉の季節が訪れました。ダケカンバ、カツラ、ナナカマド、ケヤキなどが黄色や赤、オレンジに染まり、頂きから稜線に沿って山肌を流れ下ります。まさに山粧う(やまよそおう)です。
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  我が家の畑で立冬の今頃とれる野菜には、白菜、大根、キャベツ、里芋、サツマイモなどがあります。中国には「立冬補冬、補嘴空」という言葉があり、「補」は食物で体調を補うことをいい、「立冬には旬の食材を温かくして食べ、栄養を摂り、体調を整える」ということで、冬を迎えるにあたって、昔の人は栄養を補給していたのでしょう。

  おとうさん、立冬!「寒いはずだ~立冬だ!こうなったら炬燵に入って熱燗で一杯だな・・・」「お炬燵なんて早い!だいたい、今から炬燵に入ったら冬ごもりの熊になります!」「江戸の昔から炬燵開きは 亥の月の亥の日と決まっている、ことしの暦では・・・と、11月8日、今日だ!炬燵は頭寒足熱という東洋医学にかない、暖房費の節約にも!」「あなたは、炬燵に入って頭が寒いといって、エアコンをつけるじゃありませんか!」「・・それは頭熱足熱という西洋医学の・・・」
   
   北の国から雪の便りが届き、都心では木枯らし一号が吹き荒れました。凩(こがらし)という字のように、木枯しは木を裸にする風です。紅葉という艶やかな装いを身に着けた木々も、やがて色褪せ、木枯しによって枯れ葉を落とし裸木になっていきます。いったい誰のためにあんなに美しく秋の装いをし、その後に、なぜ木枯しによっていとも簡単に葉を落とすのでしょうか・・・。すべては、春に蘇る新しい命のためなのです。枯れ木のようになった木々のなかでは、翌春に新芽を芽吹かせるための準備が始まっているのです。

  「こがらしや頬腫痛む人の顔」とは芭蕉の俳句です。木枯しが吹き、寒さの厳しい通りを、頬を腫らした風邪っ引きが歩いていく・・・・。お多福風邪でも流行っていたのでしょうか、寒い木枯らしが、いっそう寒く感じるような句です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2017.11.07(Tue) 21:11] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 霜降 

2017年10月25日 ()
  10月23日は二十四節気の霜降(そうこう)にあたります。露が冷気によって霜となって降り始めるころです。暦便覧では「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆゑ也」と記されています。楓や蔦が紅葉し始めるころで、朝晩の冷え込みが厳しくなり、この日から立冬までの間に吹く寒い北風を木枯らしと呼びます。

  今日の水彩画は、「佐渡の荒海」です。先日新潟の田舎にいった足で、佐渡に行ってきました。秋雨の続く中、束の間の晴れ間に荒れる佐渡の海は、陽ざしに輝いていました。幾万年の間、絶え間なく打ち寄せる荒波に、岩礁が挑むように立ちはだかり、波を打ち砕き続けています。
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  半世紀ぶりに訪れた佐渡でしたが、歴史と文化の奥深さに改めて驚かされました。北前船や多くの配流者たちによって伝えられたことが、佐渡特有の文化となって、今まで継承されています。たとえば、世阿弥が配流されたことで能が広まり、江戸時代には200を超える能舞台があり、今でも32余りの能舞台が残されて(人口当たりの能舞台数は江戸時代も今も日本一)、薪能などが催されているそうです。
 佐渡といえば金山ですが、佐渡で金鉱が発見されたのは1601年で、江戸幕府は天領として相川に奉行所を置き統治しました。国内一の産出量を誇った佐渡金山でしたが、江戸時代の終わりごろから産出量が減り、1951年に採掘は終了しました。今では、残された多くの史跡や博物館等で当時の様子を知ることができます。

  おとうさん、佐渡!「佐渡といえば金山だあ~」「あなた、やめてください。歩きながら石ころをポケットに詰め込むのは!」「だって金が含まれているかも・・・」「あなた、たとえ金鉱石だったとしても、含有量は鉱石1トンあたり100グラム以下だそうですよ」「1トンはポケットに入らないかあ・・・」「・・・あなたボケてない?」

  初霜の知らせが聞かれるのも今頃です。霜が降りるには、その周辺の温度が0℃以下であることが条件ですが、予報で発表される気温は地上から1.5mの高さの気温なので、3℃としても地表の温度は0℃以下になっていることもあります。予報で最低気温が3~4℃であったら、畑の霜対策はしておいた方がよさそうです。

  「手にとらば消ん涙ぞ熱き秋の霜」とは芭蕉の「野ざらし紀行」の中で詠まれている句です。実家に帰ると母親はすでに亡くなっており、「手にとったならばきえてしまいそうだ、母を慕う涙は熱く、白い遺髪は秋の霜のようだ・・・」。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.10.25(Wed) 16:52] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 百穀春雨 

2017年04月24日 ()
  4月20日は二十四節気の「穀雨」でした。春雨が百穀を潤すことから名づけられ、雨で潤った田畑は種まきの好期を迎えます。この時期に降る雨は、百穀を潤し、芽を出させる春雨として 「百穀春雨」といわれています。「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」という言葉があるように、霜の被害を受けることも少なくなります。穀雨が終わる頃には八十八夜(5月2日)を迎えます。

   今日の水彩画は、「木もれびの森の枝垂桜」です。この枝垂桜は森の中で最後に咲く桜です。木々の向こうから昇る朝陽が枝垂桜を照らすと、森の新緑を背に、満開になった花のひとつ一つが、流れ落ちる滝のように白く輝きます。
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  八十八夜は、八十八という文字が「米」という字になることから、農業に従事する人にとっては五穀豊穣を願う特別重要な日とされてきました。
 八十八夜に摘み取られるお茶は、古来より不老長寿の縁起物の新茶として珍重されていたようです。縁起の良さと気候条件も含めてこの時期のお茶は極上とされていますが、お茶の新芽には冬を越えて蓄えられた成分があふれていて、特有の若々しい香りがあるようです。一番茶(新茶)は二番茶以降のお茶よりも、うまみのもとであるテアニンなどの成分を豊富に含んでいるそうです。

  おとうさん、八十八夜!「八十八夜といえば、茶摘み!茶摘み娘が摘んだ新茶を呑みたいものだ!」「あなた!お茶にしましょう!」「番茶でも入れたては美味いねえ!」「そうですねえ 鬼も十八番茶も出花 とは、よく言ったものです!」「うんうん、お前も六十八ばあちゃんの出番 かあ!」「あなた、ちょっと違っていません?」「なに?よく聞こえない!耳が遠くなったなあ~」

  「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る、あれに見えるは茶摘みぢやないか、あかねだすきにすげの笠・・・」と茶摘みの唱歌にあるように、今頃の野山の姿は本当に綺麗で、若葉が萌える中に山桜が点々と混じり、まさに山が笑っている風景です。最後の一節にある「茜の襷(たすき)」は茶摘みの装いですが、茜は止血剤として知られていて、素手の茶摘み作業では指先を傷つけることも多く、襷の茜の成分を擦り込みながら作業する、という先人の知恵が生かされているようです。

  「霜なくて曇る八十八夜かな」 正岡子規の俳句です。「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の泣き霜」などといわれるように、遅霜が発生する時期でもあります。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.04.24(Mon) 10:03] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 虹始見 

2017年04月17日 ()
  今ごろは、七十二候では清明の末候の「虹始見(にじはじめてあらわる)」にあたり、春になって、雨の後に虹が出始める頃をいいます。
 今夜から春の嵐となる予報ですが、明日の雨上がりには虹が出るのでしょうか。春の虹は淡く、すぐに消えてしまいますが、萌える山野にかかる虹は幻想的です。

  今日の水彩画は、「大島桜」です。淡い紅色一色に染まるソメイヨシノの桜並木の中で、白い桜のオオシマザクラはひときわ目立ちます。新緑の若葉の間に咲く純白の花が、春の陽を浴びて、可憐に清らかに輝きます。
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  オオシマザクラは、大島の名の通り伊豆大島など伊豆諸島が原産とされています。花は春に、新葉が開き始めると同時に五弁の白い花が咲きます。葉はよい香りがあり、塩漬けにして桜餅を包むのに使われます。オオシマザクラの花言葉は、その純白の花から、純潔・精神美・優れた美人、です。
 今では、桜といえばソメイヨシノですが、ソメイヨシノはエドヒガンとこのオオシマザクラの人工交配種として、江戸の染井村の植木職人によって作られたとされています。

  おとうさん、花見酒?「この間の花見の酒が余っていたなあ?」「あら!そうですか?また花見ですか?それより畑仕事でしょ!」「だから、花見なのだ!そもそも、花見は、田植えの頃にサクラが咲くことから、田植え前に豊作を祈願した神事がお花見の起源なのだ!サクラの名前も、「サ」は「田神(さがみ)」のサで穀物の霊を表し、「クラ」は田の神の依りつく「座(クラ)」を意味しているのだ!だから、花見は畑作業の前の神事なのだよ!お酒だ!お神酒だ!」「そんな神事は信じられませんっ!」

  「虹」の漢字は、「虫」(へび)に「工」(つらぬく)です。中国では、虹を蛇や竜の一種と見なす言い伝えが多く、虹は蛇が空にアーチを架けているように見えるのでしょう。この虹蛇(にじへび)にちなむ伝説は、中国だけでなく、オーストラリアや北アメリカ、西アフリカにもあるようです。オーストラリアの場合は、虹はアボリジニが崇拝する虹の精霊と名付けられ、それらは雨を降らせる力がある巨大な蛇を意味するそうです。

  「初虹も わかば盛りや しなの山」 小林一茶の句です。妻子を病で亡くし、天涯孤独になってしまった一茶が、後妻を娶り新たな希望に輝きながら、故郷の春の虹の風景を見て詠んだ句といわれています。俳句の世界では、虹は夏の季語ですが、初虹や春の虹とすると春の季語になります。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.04.17(Mon) 20:38] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 清浄明潔 

2017年04月07日 ()
  4月4日頃は二十四節気の「清明」にあたります。万物が若返り、清々しく明るく美しい季節です。清明とは、春先の清らかで生き生きとした様子を表した「清浄明潔」という言葉を略したものです。この頃は桜の花が満開となり、お花見に最適の時期ですが、菜種梅雨などと呼ばれる雨が多い時季で、暖かくなった後に小雨が降り続いて寒くなったりもします。南の地方ではつばめが渡って来る頃で、七十二候の清明の初候には「玄鳥至(つばめ いたる)」とあります。

  今日の水彩画は、「満開のソメイヨシノ」です。満開の時期を見計らって、4日に新宿御苑と千鳥ヶ淵を回って花見をしてきました。混み合う花見客にもまれながら、下から桜を見上げると、薄桃色の雲の中に桜の花が春の陽に輝きます。まさに桜花爛漫(おうからんまん)の春です。
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  900年程前の中国北宋末期に描かれた「清明上河図」には、春たけなわの清明の時節、庶民の生き生きとした暮らしぶりが描かれています。中国の至宝「清明上河図」が日本で(中国国外に持ち出されたのはこれが初めて)公開されたのは2012年のことでした。この画巻の価値は、精細な描写にあり、長さ5メートル、縦24センチの画面の中に登場する人物700人以上、牛、馬、ロバなどの動物73頭、馬車など20数輌、船25艘、多数の建物、橋、城門などが実に細かく描かれており、歴史研究と芸術の面で多大な価値があると言われ、いまでも研究が続けられています。

  おとうさん、花見で二日酔い?「お~い!花見酒だ!」「あなた二日酔いじゃありませんか?」「芭蕉の句に 二日酔ひものかは花のあるあひだ とある!桜はすぐに散るから二日酔いなぞ気にしていられない~うぃっ!」「それでは空き瓶に花を活けて・・どうぞ!」「・・・・?」「芭蕉の句に、呑み明けて花生にせん二升樽 とあります。空き瓶に花をいけたら、呑み干してしまいお酒がありません!ということですよ」

  「花の雲 鐘は上野か 浅草か」とは芭蕉の俳句で、はるかに見渡せば、雲と見まがうほどの桜の花の盛りで、隅田川を渡って聞こえて来る鐘の音は、上野の寛永寺か、それとも浅草の浅草寺であろうか・・・。
 「花の雲」とは、桜の花が一面に満開になるさまを、雲に見立てていう言葉で、春の季語になっているようです。江戸深川にある芭蕉庵で詠んだ句のようで、芭蕉庵からは上野も浅草もほぼ同じ距離にあり、ふと耳に入った時の鐘はどちらの寺の鐘かなあ~と、まさに春うらら、居眠りをしたくなるような雰囲気です。
   
  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.04.07(Fri) 21:55] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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