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リストマーク 紅花栄 

2017年05月25日 ()
   各地で30度を超える真夏日が続いたと思いきや、今日は一転して雨模様の肌寒い日となりました。暦では、七十二候の第二十三候「紅花栄(べにばなさかう)」と紅花が咲きほこる頃となりました。紅花の産地である山形では開花はもう少し先のようですが、アザミに似た可憐な紅の花々が、黄色から次第に赤みを帯びてきます。

  今日の水彩画は、「初夏の眩しすぎる陽ざし」です。夏を思わせる眩しい朝の陽差しが、森の草木を輝かせます。伸び盛りの草木たちは、少しでも陽を浴びようと枝葉を伸ばし、風にあたり枝を揺らせます。
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  紅花が日本へ渡来したのは五世紀ごろといわれ、栽培法と染色法と共に伝わったとされます。「紅花」は、「藍」とともに代表的な日本の色として、古より歌に詠まれ、衣を艶やかな紅に染め上げてきました。
  「紅花」の花は黄と赤の色素を含んでいますが、黄色の色素は水に溶けやすく、水洗いで洗い流されてしまいます。その花に藁(わら)灰汁を加えて赤い色素を抽出したあと中和します。紅花の「紅色」の種類も、濃い赤の「艶紅」からごく淡い薄紅の「桜色」まで、実にさまざまで、日本人が美しい紅色に寄せてきた心が感じられます。

  日本の青といえば、藍ですが、先日、友人が「新しい青色が発見!」というニュースがネットに載っていた、と話してくれました。調べてみると・・・。
 大手クレヨンメーカーのクレヨラが、「新しい青」をクレヨンの新色として発売すると発表したのです。この新しい青色は2009年に、米オレゴン州立大の研究室で、酸化イットリウムと酸化インジウム、少量の酸化マンガンを加熱していた際、偶然発見されたもので、それぞれの元素記号を組み合わせ「YInMnブルー」と名付けられました。新しい青色の発見は、1802年のコバルトブルー以来200年ぶりのことだそうです。

  おとうさん、紅色?「いいねえ、いい色だね!藍といい紅花といい、日本の色、和色はいいねえ!」「そうねえ!外食なら和食がいいわよね~」「色の話だ!和の色だよ、藍とか紅花の赤とか・・・」「紅花って洋食でしょ!和食にしましょうよ!」「・・・爺婆でも耳が遠くなると噛み合わない会話が弾むものだ・・・・これも藍だなあ・・・」

  「眉掃きを俤(おもかげ)にして紅粉の花」 芭蕉が山形で紅花を見て詠んだ句で、紅花を見て眉掃き(化粧道具)を連想して、誰かを想い出したのでしょうか・・。紅花の艶紅は、化粧の紅として、日本画の顔料としても使われてきました。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.05.25(Thu) 21:54] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 啓蟄 

2017年03月10日 ()
  3月5日は二十四節気の「啓蟄」にあたり、大地が温まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころです。暦便覧には「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されています。啓は「ひらく」、蟄は「土中に籠っている虫」の意味です。まだまだ朝夕は寒いですが、一雨ごとに気温が上がり、日差しも暖かくなってきます。野菜屋の店先に山菜が出回る時期で、我が野菜畑のわきにもフキノトウが顔を出し、早速苦みのある春を味わっています。

  今日の水彩画は、「朝陽を浴びる椿」です。まだ凍える寒さの森の朝、朝陽が昇り椿の木の先を照らし出します。椿の花と緑の葉たちは、温もりを待ちかねたように、春の陽ざしに顔を輝かせます。
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  啓蟄の時期の七十二候の初候には「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」とあります。戸をひらくという表現は、冬眠から目覚め顔を覗かせる虫の表情が伺えるようで、春の嬉しさがあらわれています。実際に虫が活動を始めるのは、一日の平均気温が10℃を超えるようになってからで、首都圏では3月下旬ごろになるようです。

  おとうさん、啓蟄です!「春だねえ!春の陽気に誘われて、虫が這い出てくるころだ!」「あなた~!虫でさえ外に這い出る頃ですよ、外に這い出て畑!畑を耕してジャガイモを植えてくださいな!」「その虫でさえ・・・という言い方が気に障るねえ!」「あら、啓蟄の虫と同じですよ!」「はいはい、赤い提灯に誘われて呑みに這い出ますかねえ、虫ハイですよ!」「ちょっと!あなた!畑違いですよ・・・」

  一般に「椿」といえば「薮椿」を指すようで、藪椿は日本特産のツバキ科ツバキ属の常緑樹で照葉樹林の代表的な樹木です。この藪ツバキの種を絞って採取されるのが椿油です。椿油が日本で書物に登場するのは奈良時代のようで、実に千年以上も使われてきている油です。椿油には、酸化されにくいオレイン酸が多く含まれていることから、固まりにくい性質を持ち、食用のほか化粧品や髪油として用いられ、日本刀の磨き油、木刀や将棋駒、櫛などの木製品の磨き・艶出しに用いられています。

  「うぐひすの笠おとしたる椿哉(椿の花がぽとりと枝からおちてきたが、あれは鶯の落した花笠であろう)」とは芭蕉の句ですが、梅の花を鶯の笠とした古今集などの古歌からの発想といわれ、鶯の花笠が梅の花では平凡な歌になってしまうことから、それを「椿」と俳諧化しているのだそうです。

ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2017.03.10(Fri) 09:32] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 芹乃栄 

2017年01月11日 ()
   七十二候では小寒の初候、「芹乃栄(せりすなわちさかう)」となりました。芹(せり)が生え始める頃というわけで、正月7日は七草粥をいただく日でしたが、七草の1つが芹です。田んぼや川のあぜで、まるで競り合うように生えていることからセリと名がついたといわれます。この寒い時期には芹(せり)は生えていませんが、暦は旧暦ですから立春のころになり、芹が出てきてもおかしくない時期なのです。

  今日の水彩画は、「初日の出」です。毎年正月の墓参りを兼ねて初日の出を拝みに行きます。雲一つない快晴の冬の海の水平線が赤くなると、暗い海が赤く染まりはじめます。やがて陽が顔を覗かせると、目を開けて居られないほどの光の束が海を走り、寒風に凍えた頬に温もりが感じられます。すべての生きものに生きる喜びを与えてくれる陽の光と温もりが蘇り、岩棚に溜まった海水が鏡のように光ります。
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  山形県白鷹町に伝わる民話では・・・孝行息子が「親を若返らせてください」と祈ると、夢枕に立った神さまが「正月七日に七草を食べて何千年も生きてきた白鳳という鳥がいる。鳥にみつからないように六日に七草を摘み、親には歯がないから叩いて柔らかくして七草粥にして食べさせよ。鳥が帰る酉の刻までに食べよ」とのお告げがありました。言われたとおりにすると、毎年10歳ずつ若くなり、末永く親子仲良く暮らしたそうです・・・。これが七草粥のはじまりだとされているそうです。
 日本では昔から正月七日に七草を粥にして味わい、一年の邪気を祓うとされてきました。凍てついた大地から芽生える若菜を食べると、春のように若返りの力が湧いてくると考えられたのです。芹(せり)はビタミンCやβ-カロテンが豊富で強い抗酸化作用をもち、鉄分も含まれ造血作用もあり、肝機能も高めるといわれ、確かに老化防止には効きそうです。

   おとうさん、七日正月!「年が明けたと思ったら、もう七日だ!七草粥の日だ!七草粥と正月の残り酒をいただきますか?」「いけません!お正月で呑みすぎ食べすぎた胃を休ませるためのお粥ですから、お酒なんて!」「七草粥を食べると毎年10歳若返るそうだ!」「えっ!本当ですか?じゃ私がお粥をいただきます!あなたはお酒でもなんでも呑んでくださいな!」「・・・・・・・」

  「凧きのふの空のありどころ」 とは与謝蕪村の俳句ですが、空を見上げても何もないけれど、きのうは凧が上がっていた、という何もない空を詠んだ素っ気ないような句ですが、何もないところに澄み切った正月の空が感じられます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト

  今年も下記のように、相模原の市民ギャラリーにてサム ヤマモトの水彩画個展を開催いたします。駅のすぐそばの会場ですので、気軽にお越しください。
サム ヤマモト 水彩画個展(第四回)
「木々の光と影と命」
場所 相模原市民ギャラリー 第一展示室
    JR相模原駅ビル セレオ相模原4F
開催期日 2017年2月10日(金)~2月13日(月)
時間 10:00~19;00(初日11:00より、最終日16;00まで)
入場無料、図録等の販売あり
[2017.01.11(Wed) 23:47] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 菊花開 

2016年10月15日 ()
  早くも、10月も半ばとなり、七十二候では「菊花開(きくのはなひらく)」という時節に入りました。菊の花開く とは、いかにも秋らしい言葉です。そして「菊の節句」の時期でもあります。菊の節句すなわち重陽の節句は旧暦で9月9日、いまの暦では10月半ばころにあたり、いまごろの季節です。

  今日の水彩画は、「欅が色ずく里山の秋」です。10月半ばとはいえ、まだまだ緑が多く残る里山ですが、裏山の陰から朝陽が昇り欅の老木を照らし出すと、黄金色に葉達が輝き、陰の部分は褐色の秋色に染まります。
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  菊の花は昔から、長寿の霊薬として様々なかたちで親しまれてきました。食用の菊の花、湯船に菊の花を浮かべて菊湯、菊を入れた菊枕、そして、菊酒です。菊酒は菊花を焼酎に漬け込むようですが、盃の酒に菊の花を浮かべて呑むのも優雅です。

  重陽の節句に「菊酒」で無病息災や長寿を願いますが、この菊酒の由来は・・・
 紀元前9世紀の中国、周の王・穆王は、お釈迦さまから世を治める「八句の偈(げ)」というものを賜っていました。穆王に寵愛されていた慈童という童が、あるとき、誤って王の枕を蹴ってしまい、恐ろしいけものが棲む僻地に流刑になってしまいます。哀れに思った穆王は、お釈迦様の八句の偈の最後の二句を伝え、「慈限視衆生 福聚海無量、これを、毎朝唱えると、けものたちは近づかなくなる」と教えたのです。慈童は、忘れないように咲いていた菊の葉に書いておきます。 句を書いた菊の葉に露がたまり、それが川に落ちると川全体が天の霊薬になり、その川の水を飲んだ村人たちは長寿に、慈童もわらべのまま仙人になっていました。それから、八百年ほど後の魏の文帝の使者が慈童を訪ねると、慈童は文帝に穆王から授かった二句を託し、さらに、盃に菊花を添えて寿命を延ばす術を文帝に授けました。文帝は菊の宴を催し、千年、万年の寿を祝いました。これが重陽の宴、菊酒の宴となったのです。

  おとうさん、菊の花です!「秋だ、菊の花だね~!菊といえば菊酒だ。盃に菊の花を添えて酒を呑む!不老長寿の霊薬だ!お~い、酒だ、盃だ、菊の花だ!」「あなた!朝からお酒の話ですかぁ~、あなたは不老長寿じゃなくて不良朝酒です!」

  「秋を経て蝶もなめるや菊の露(秋更けて菊にとまった老いた蝶よ、お前も齢を延ばそうと菊の露をなめるのか)」とは芭蕉の句ですが、芭蕉は、菊の露が不老長寿の霊薬だという故事に引っ掛けて詠んでいるのです。さすが・・・・! 

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2016.10.15(Sat) 21:33] 植物Trackback(0) | Comments(1) 見る▼
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by きみき
突然のコメント、失礼いたします。
私はこちら⇒https://goo.gl/mOeifj
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色々なサイトをみて勉強させていただいています。
もしよろしかったら相互リンクをお願いできないでしょうか?
「やってもいいよ」という方はメールを送ってくだされば、
私もリンクさせていただきます。
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リストマーク 秋分 

2016年09月22日 ()
  9月22日は二十四節気の秋分です。太陽が真東から昇り真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。陽が極楽浄土のある真西に沈むことから、亡くなった人を偲ぶお彼岸の中日でもあります。今日は朝から雨が降り肌寒い日ですが、「暑さ寒さも彼岸まで」といわれ、この日を境に暑い日は無くなり、寒さが増してきます。

  今日の水彩画は、秋分にふさわしく「里山の秋」です。わずかに西に傾いた秋の陽が、収穫を待つ稲穂を黄金色に照らします。大きな葉をつけた里芋を囲う畦道には、彼岸花が里の祖先たちを偲ぶように静かに咲いています。
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  古来農村では、春分の頃に豊作を祈り、秋分の頃に豊作を祝う自然信仰があり、山の神様である祖先の霊を春分以前に山から里に迎え、秋分以降に里から山へ送る儀式が行われていました。それが、仏教の信仰が深まるとともに、秋分は「秋の彼岸」として祖先を偲び、供養する行事になっていきました。
 秋の彼岸といえば「おはぎ」ですが、秋を代表する萩の花にちなんで「御萩(おはぎ)」と呼ばれるようになりました。春には春の花の牡丹にちなんで「ぼた餅」になります。いずれも同じ餅ですが、季節の花の名で呼び分けるとはなんと風流なことでしょう。
萩の花はその美しさから、「秋の七草」として古くから愛されていて、万葉集などでもたくさんの歌が詠まれています。萩は秋になると細い茎に赤い小さな花をたくさんつけます。その姿は控えめながら、とても美しいことから、「思案」「内気」「柔らかな心」という花言葉がつけられています。
 「一家(ひとつや)に遊女も寝たり萩と月」というちょっと色っぽい句は芭蕉で、思いがけなく同じ宿に遊女が同宿し一つ屋根の下で寝ることになったが、澄んだ月明かりが萩の花の上に降り注いでいる、という意味です。この句では萩が美しい遊女かと思いきや、どうやら芭蕉は自分を「萩」に、遊女を「月」になぞらえたらしいのです。

  おとうさん、お彼岸!「秋のお彼岸といえば、おはぎ だな!うん、旨いじゃないか、半殺しのあんがいいねえ!」「あなた、お墓参りのお供えですよ!」「お供え前の味見だ!まずいおはぎじゃご先祖様に申し訳ねえ!」「わたしが苦労して作ったのですから・・・!あなたの味見は単なる棚ボタ、じゃなくて棚はぎ!」

  「落穂拾ひ日あたる方(かた)へあゆみ行く」 蕪村の秋の句です。秋の日差しが山の端にかかり、広い田んぼの一部を照らすばかりになったけれども、農夫が落穂を拾いながら、日の当たる方へ移っていく、という今日の水彩画のような情景です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2016.09.22(Thu) 21:57] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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