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リストマーク 蓮始開 

2017年07月14日 ()
  今ごろは、七十二候では小暑の次候として「蓮始開(はすはじめてひらく)」にあたります。「泥(でい)より出でて泥に染まらず」といわれ、美しい花が泥の中から伸び立ち花開く姿が、いにしえより崇高で清らさの象徴となってきた「蓮(はす)の花」、花中央の黄色い部分にたくさんの穴があいていて、蜂の巣に似ていることから、万葉の時代より「はちす」と呼ばれ、数多くの歌にも詠まれています。

  今日の水彩画は、「夏の陽の光と影」です。梅雨明け間近の森に差し込む朝陽は強烈です。ミズキの白い幹を輝かせて、木の葉の影を木肌に焼き付けます。陽の眩しさに草木が目を覚まします。
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  蓮の花の命はわずか4日です。1日目は早朝より花弁が開き始めほんの少し開いたのち、つぼみの状態に戻り、2日目は、同じく早朝に咲きはじめ満開となり、香りを放ちながら最も美しい瞬間を迎えたのち、また半ば閉じてしまいます。3日目は、2日目と同じく最大に開きますが、受粉を終えためしべは黒っぽくなり、花の色は若干退化し、昼頃には閉じはじめます。そして4日目、3度目の全開を迎えたのち、はらはらと花弁が落ち、はかなくも散ってしまうのです。

  おとうさん、蓮の花!「うむ・・蓮花が開いたのだけど、いくといつも閉じているんだなあ~」「あなた~、蓮は朝早くにしか開きませんよ!昼頃には閉じてしまいます!」「じゃあ~夜遅くに行くか 蓮花っていう店に!花は夜開く~かあ~うっしっし・・・」「あなた~早朝ですって・・」「だから夜遅くから夜明けまで・・・」

  美しい花やレンコン(蓮根)で、古くから親しまれている蓮ですが、その茎から取れる蓮の糸で、織物が織られてきたことはあまり知られていません。古代インドでは、紀元前四世紀頃から繊維として使用されていたようです。奈良の當麻寺(たいまでら)に今もある当麻曼荼羅(まんだら)は、中将姫という女性が一夜にして蓮糸で織った奇跡の曼荼羅である(能の当麻の題材)という逸話があります。ミャンマーでは、今なお蓮の糸で織物が織られ、僧侶の法衣や袈裟として寺に奉納されているそうです。

  「仏印の古きもたへや蓮の花(ぶつちんの ふるきもたえや はすのはな)」とは蕪村の俳句です。古雅な風格のある酒がめに見事な蓮の花が生けられている、あの酒がめは、その昔仏印禅師が使っていたものとか、ここの住僧もまた詩酒の趣を解する人物と見える、という・・なかなか難しい句です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2017.07.14(Fri) 17:08] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 菖蒲華 

2017年06月29日 ()
   梅雨に灯る紫の花、6月27日〜7月1日頃は七十二候の「菖蒲華(あやめはなさく)」の時季です。菖蒲(あやめ)の花が咲くのは五月ごろ、よく似た「杜若」(かきつばた)がそのあとに続き、この時期咲き始めるのは「花菖蒲」のことなのでしょうか。
 アヤメ科の花を、切り花で楽しむ場合に、花が枯れた後に花びらだけを摘みとってそのまま活けておくと、再び花芽が出て、もう一輪咲くことがあるそうです。

   今日の水彩画は、「梅雨の晴れ間の森」です。梅雨の晴れ間の強い陽射しが、森の広場に射し込みます。真夏のような陽ざしが、草木の葉を射抜き、こがね色の葉達がキラキラと眩しく輝き、森の広場の舞台を照らし出します。
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  雨が待ち遠しい農家は、あやめの花を見て、梅雨を知ったといわれます。あやめという和名は、花の外花被の基部に綾目をもつことから名付けられたという説があります。アヤメ、カキツバタ、ハナショウブはなかなか見分けがつきませんが、いずれも、「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」といわれるように、美しい花です。

   おとうさん、雨です!「畑には恵みの雨だ、野菜が育つなあ・・・」「あなた、雑草もすくすくと伸びています!草むしりお願いします!」「晴耕雨読の生活だ、雨が降れば絵描き業だが・・」「あら!真夏のカンカン照りの中の草取りは辛い!雨でも今のうちに草取りをしておくと夏が楽ですよ!」「はいはい、それでは雨の中で草取り、おじいさんは畑の草刈りに、おばあさんは川で洗濯?」「雨の日の洗濯はなし!」「・・・・」

   雨の季節、梅雨入りから雨量の少ない今年でしたが、ようやく梅雨らしい雨が降り、畑の野菜がすくすくと元気に育っています。雑草も野菜に負けじと元気に成長し、草取りに膝や腰が痛い痛いと音を上げています。
 ジメジメ、ムシムシとした天気に気分が滅入りがちな梅雨ですが、この時期に咲く美しい花々には梅雨にしか味わえない風情があります。雨の中で咲き誇る花の姿には、他の季節とは違った美しさや味わいがあり、古来より人々はこれらの花々に心動かされ、俳句や詩歌、絵画の中で、美しい日本を表現してきました。

   「世の人の 見付(みつけ)ぬ花や 軒の栗」とは芭蕉の句です。栗の花も梅雨にかけて咲く花ですが、地味な花です。「栗の花はあまり目立たないが、栗の花を咲かせている家の主もまた、目立たなくとも、奥ゆかしい人だろうか」という意味です。花も人も、目立つものだけがすべてではないという、やさしい視線が感じられます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.06.29(Thu) 11:36] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 夏至 

2017年06月22日 ()
  6月21日は二十四節気の夏至でした。夏至は、日の出と日の入りの方角が最も北寄りになり、昼が最も長く、夜が最も短くなる時季です。暦便覧には「陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以てなり」と記されています。このため、夏至は別名、日永(ひなが)とも呼ばれ、東京で夏至と冬至の昼の時間の長さを比べると5時間もの差があるそうです。
   
  今日の水彩画は、「雨に濡れるヤマアジサイ」です。森の片隅でひっそりと花を付けたヤマアジサイ、梅雨の雨にけむる木々の中で、小さく白く清らかな飾り花が雨に濡れています。
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  野や山に咲く野生のアジサイには、ヤマアジサイ、コアジサイ、ガクアジサイ、エゾアジサイなどがあります。なかでもヤマアジサイは、湿った林のなかや沢沿いなどに多く、タニアジサイとも呼ばれています。真っ白なヤマアジサイの飾り花は清々しく、蒸し暑い梅雨の雨の中で、清涼感を醸し出します。

  七十二候の二十八番目となる「乃東枯(なつかれくさかるる)」は、夏至の初候にあたります。乃東(ないとう)とは漢方薬に用いられる夏枯草(なつかれくさ)の古名で、その正体はウツボグサ(靫草)です。紫色のきれいな花が咲く田んぼの畦や草地でよく見掛ける草です。この草は、冬至の頃に芽を出して夏至の頃に、花穂が黒色化して枯れたように見えることから、夏枯草と呼ばれるようになりました。カサカサに茶色く枯れた花穂は利尿などの漢方薬に使われるようです。

  おとうさん、夏至です!「もう夏至か!昼が一番長い日だ、冬至と逆だ・・・。冬至は南瓜(かぼちゃ)を食べる日だが、夏至の食べ物は何?」「あなたは、食べものと呑むことだけで季節を感じる人ですねえ~」「冬至の食べ物があって、夏至にないのはおかしな話だ!」「そうですねえ~冬至に南瓜ときたら、夏至には冬瓜(とうがん)ではどうですか?」「いいねえ~冬瓜は夏が旬だ!ピリッと冷えた日本酒に合うねえ・・」「えっ、冷えたお酒?年寄りの冷や水になりますから、温いお茶で・・・」「・・・・・・」

  「涼しさを 我宿にして ねまるなり」とは松尾芭蕉の句です。この句は、山形に滞在したときのもので、歓待をうれしく思い、まるで我が家にいるようだと詠んでいるのです。「ねまる」は方言で、山形では「とまる」、秋田では「座る」、広島では「腐る」と地方によって異なった意味で使われているようです。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.06.22(Thu) 13:58] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 芒種 

2017年06月09日 ()
  6月5日は二十四節気の「芒種」にあたり、稲などの芒(のぎ)のある穀物の種をまく季節を意味しますが、実際の種まきはこれよりも早い時季に行なわれるようです。暦便覧にも「芒(のぎ)ある穀類、稼種する時なり」と記されています。
 梅雨が始まる頃ですが、今年の関東甲信越のつゆ入り宣言は、6月7日でした。宣言が出たら雨が降るかと期待しましたが、まとまった雨は降らず、野菜畑が値を上げています。今年の梅雨の雨量は平年並みということですが・・・。

  今日の水彩画は、「雨に濡れる紫陽花」で、梅雨の花といえば紫陽花です。陽当たりが苦手な紫陽花が、雨が降り出すと生き生きとしてきます。重なり合った葉達が雨の滴で重くなった花を支えます。
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  梅雨には、あじさいがよく似合います。しっとりと濡れた姿も美しく、梅雨ならではの風情を感じます。「あじさい」の語源は、藍色が集まったものを意味する「集真藍(あづさあい/あづさい)」からきたという説が有力とされています。あじさいは古くから親しまれていて、「万葉集」にも詠まれています。あじさいが「紫陽花」になったのは、唐の白居易が別の花につけた「紫陽花」を、平安時代の学者が当て字をしたからだといわれています。

  おとうさん、梅雨入り!「梅雨入りだぁ、庭の紫陽花が色付いてきた~紫陽花に小さなカマキリが、今頃は蟷螂生(カマキリ生ず)で、カマキリの子供が出てくる頃だな~」「あなた、畑の草刈りお願い、草がすぐに伸びるんですから!」「カマキリといえば、オスはメスに食い殺される・・・」「あなた~、早く、早く、また雨が降り出しますよ!」「きゃぁ~、かみさんが鎌をふりあげて迫ってくる~たすけて~」

  七十二候では芒種の初候(6/5~6/9)は「蟷螂生ず」で、卵から小さなカマキリの赤ちゃんが生まれてくる頃としています。農作業の目安とされる七十二候にカマキリが登場するのは、カマキリは稲や野菜には手を付けずに、害虫を捕らえてくれる益虫だからなのかも知れません。

  「紫陽草や帷巾時の薄浅黄(あじさいや かたびらどきの うすあさぎ)」は芭蕉の句です。あじさいの花が咲いて、帷子を着る季節がやってきた、あじさいの色はその薄浅葱の帷子色をしている、と詠んでいますが、夏に近づくにつれ、帷子の色は濃い色から淡い色に変わるように、あじさいの色も変わっていく、という意味なのでしょう。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.06.09(Fri) 17:45] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 紅花栄 

2017年05月25日 ()
   各地で30度を超える真夏日が続いたと思いきや、今日は一転して雨模様の肌寒い日となりました。暦では、七十二候の第二十三候「紅花栄(べにばなさかう)」と紅花が咲きほこる頃となりました。紅花の産地である山形では開花はもう少し先のようですが、アザミに似た可憐な紅の花々が、黄色から次第に赤みを帯びてきます。

  今日の水彩画は、「初夏の眩しすぎる陽ざし」です。夏を思わせる眩しい朝の陽差しが、森の草木を輝かせます。伸び盛りの草木たちは、少しでも陽を浴びようと枝葉を伸ばし、風にあたり枝を揺らせます。
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  紅花が日本へ渡来したのは五世紀ごろといわれ、栽培法と染色法と共に伝わったとされます。「紅花」は、「藍」とともに代表的な日本の色として、古より歌に詠まれ、衣を艶やかな紅に染め上げてきました。
  「紅花」の花は黄と赤の色素を含んでいますが、黄色の色素は水に溶けやすく、水洗いで洗い流されてしまいます。その花に藁(わら)灰汁を加えて赤い色素を抽出したあと中和します。紅花の「紅色」の種類も、濃い赤の「艶紅」からごく淡い薄紅の「桜色」まで、実にさまざまで、日本人が美しい紅色に寄せてきた心が感じられます。

  日本の青といえば、藍ですが、先日、友人が「新しい青色が発見!」というニュースがネットに載っていた、と話してくれました。調べてみると・・・。
 大手クレヨンメーカーのクレヨラが、「新しい青」をクレヨンの新色として発売すると発表したのです。この新しい青色は2009年に、米オレゴン州立大の研究室で、酸化イットリウムと酸化インジウム、少量の酸化マンガンを加熱していた際、偶然発見されたもので、それぞれの元素記号を組み合わせ「YInMnブルー」と名付けられました。新しい青色の発見は、1802年のコバルトブルー以来200年ぶりのことだそうです。

  おとうさん、紅色?「いいねえ、いい色だね!藍といい紅花といい、日本の色、和色はいいねえ!」「そうねえ!外食なら和食がいいわよね~」「色の話だ!和の色だよ、藍とか紅花の赤とか・・・」「紅花って洋食でしょ!和食にしましょうよ!」「・・・爺婆でも耳が遠くなると噛み合わない会話が弾むものだ・・・・これも藍だなあ・・・」

  「眉掃きを俤(おもかげ)にして紅粉の花」 芭蕉が山形で紅花を見て詠んだ句で、紅花を見て眉掃き(化粧道具)を連想して、誰かを想い出したのでしょうか・・。紅花の艶紅は、化粧の紅として、日本画の顔料としても使われてきました。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.05.25(Thu) 21:54] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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