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リストマーク 鴻雁北 

2018年04月11日 ()
 七十二候では今頃は、清明の次候にあたり「鴻雁北(こうがん きたにかえる)」とあります。初候に「玄鳥至(つばめ いたる)」とあるように、日本にやってくるツバメと交替するように、雁(ガン、かり)が北の国へ帰っていく時季です。

  今日の水彩画は、「千鳥ヶ淵の桜」です。春の陽ざしを浴びて、満開の桜が皇居のお堀を覆います。紫禁(皇居)の桜だけあって高貴な紫色の影を水面に映します。
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  渡り鳥は3種類に分けられるそうです。ツバメのように、春に日本に帰ってきて子育てし、秋になると南へ旅立つ「夏鳥」。雁やオオハクチョウのように、寒さが厳しくなる頃日本にやってきて冬を越し、春には子育てのため北の国に戻る「冬鳥」。そしてシギやチドリの仲間のように、日本より北の国で子育てし、日本より南の国で冬を越す、渡りの途中で日本に立ち寄って休む「旅鳥」がいます。渡り鳥の渡る目的はやはり子育てのようです。 食べ物が入手しやすくヒナを育てやすい場所へと、体内時計を駆使して太陽や星座をたよりに移動します。

  里山では散って葉桜となった桜に替わり、山吹の黄色い花が満開となりました。山吹はバラ科の低木で、花には一重と八重があり、八重の山吹には実が生りません。山吹色という黄色は、梔子(クチナシ)の実を煎じて染めた色です。古今和歌集に「山吹の花色衣ぬしやたれ問えどこたえず口なしにして(美しい黄色の衣の持ち主を問うても返事がない、クチナシの実で染めた黄色なのだから)」という歌があります。イギリスでは山吹を、イエロー・ローズとかジャパニーズ・ローズと呼んでいるそうです。

  おとうさん、桜が散りました!「花見酒が呑めなかったなあ!でも、今は山吹の花が咲いているから花見だ!酒が呑める!」「あなた、山吹といえば~七重八重 花は咲けども 山吹の 実(酒)のひとつだに なきぞ悲しき~というわけで、お酒がありません!」「道灌できたか!八重の山吹は実がないが一重の山吹には実が付くのだ!うちに酒が無くても酒屋にはたくさんありますよ!」「あなた!山吹色はクチナシの実で染めます!だから返事しない、クチナシですから!」

  「山吹や宇治の焙炉の匂ふ時(やまぶきや うじのほいろの におうとき)」とは芭蕉の俳句です。宇治は茶の産地ですが山吹の名所でもあり、山吹が咲き誇っている、今頃は茶の焙煎のさかりできっと馥郁たる茶の匂いがあたりに満ちていることであろう、という香りを感じる句ですが、山吹の花に匂いは無いそうです。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.04.11(Wed) 21:07] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 清明 

2018年04月02日 ()
  4月5日は二十四節気の「清明」にあたります。清浄明潔つまり「万物がすがすがしく明るく美しい」ころです。暦便覧には「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」と記されています。この頃はお花見のシーズンですが、今年の首都圏では例年になく早くに桜が満開となり、4月5日ともなると花見も花吹雪か葉桜になってしまいそうです。

  今日の水彩画は、「満開の緋桜」です。ご近所にある桜の木(緋ザクラの木だと思いますが)が満開となりました。朝陽が差すと、桜が緋色に染まり、淡い緋色の着物をまとった舞姫が両手を広げて舞っているようです。桜の花の色が家々の屋根にも照り映えて、朝陽と共に緋色に染め上げます。
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  緋色というのは、和色では茜色のことです。陽が光り輝いているように、赤に黄色が差し込んだ色で、「火色」ともいわれます。この赤色は、植物の茜の根からとった染料の色です。日本茜はアカネ科の多年草の蔓草で、その根は髭状に細かく分かれていて、一年目のものは黄褐色ですが、二年目からは赤色になるそうです。

  清明の頃の天候は、晴れの日と雨の日が交互にやってくるのですが、畑に苗を植え、種をまく時期で雨が欲しい頃なのに、今年は晴れの日ばかり、畑作業に水運びが加わります。恵みの雨は穀雨まで待たなくてはならないようです。

  おとうさん、清明!「清々しく明るく美しい時期だ、桜の下でお酒を酌み交わし花を愛でる時だ!」「あなた!花見より畑です。畑を耕し、種をまき、苗を植えないと!水も運んでくださいな!」「はいはい!畑、畑!花見酒もなしか!雨が降らないねえ!今頃の雨を 花散らしの雨 というのだが・・、落ちそうで落ちないひとが雨ではらっと落ちる、ウッシシ・・・」「あなた!ぶつぶつ言っていないで、畑!」「はいはい!」

  清明の頃に、静かに降る雨を「発火雨(はっかう)」とか「桃花の雨(とうかのあめ)」などと呼ばれています。萌え始めた若葉が雨に濡れていっそう清らかに見え、この頃の雨もまたいいものなのですが、降りませんねぇ・・・。

  「扇にて酒くむ陰や散る桜」とは芭蕉の句で、桜の花の木陰で、ふと扇で酒を汲む所作を真似てみると、自分の上に桜がはらはらと散りかかる、という風流な句です。やはり桜の木の下ではお酒がつきものなのでしょう。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2018.04.02(Mon) 21:23] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 霞始靆 

2018年02月24日 ()
  2月19日ごろから、二十四節気では「雨水」、空から降るものが雪から雨に変わり、雪が溶け始めるころという季節です。暦便覧には「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と記されています。実際には寒さや積雪が頂点となることから、この時季から寒さも峠を越え、いよいよ春が近づいてくることが感じられころなのです。昔から農作業の準備を始める目安とされてきました。

  今日の水彩画は、「春を告げる紅梅」です。まだ冷たい風が吹く林の中で、百花繚乱の春の始まりを告げるように、紅梅の花が咲いています。裸木ばかりの林の中で、ひとり派手な衣装をまとい、春の到来を告げながら舞っています。
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  紅梅の木の断面はピンクの淡い紅色をしていて、白梅の木の断面は白っぽい色をしているそうです。紅梅の実は小さくて固く、白梅の実のように食用にはなりませんが、美しい淡い紅色の幹は、器や家具などを作る木材として人気があるそうです。

  おとうさん、梅の花!「いよいよ春~、梅は咲いたか桜はまだかいな~♪」「あれは紅梅ですねえ~きれい」「あのな、花が紅色だから紅梅とは限らないの、木の幹の断面が紅色だと紅梅、白色だと白梅だ!花ではなく木の種類なのだ!だから、紅梅の木に白花、白梅の木に紅花が・・・」「あなた!またややこしいことばかり!赤なら紅梅、白なら白梅でいいじゃありませんか!」「だから、本質は中味だと・・」「開いてみないとわからないあなたのお腹の中みたい!」「・・・・・・」

  七十二候では、今頃は雨水の次候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」です。春になると大気中に水滴や細かな塵が増え、また、霧やもやのために遠くの山や景色がぼやけて見えることがあります。また、煙や雲が上に上らずたなびいたように見えることもあり、こうした現象を古来より「霞(かすみ)」と呼んできました。
  近年、空気中に飛散するもののなかに杉花粉があり、花粉症の方には辛い時期になってきます。これは、PM2.5の様な微小粒子状物質には、物と物がくっつく力「分子間力」があるため、花粉などと結合して「悪玉花粉」になるのではないかといわれています。「春霞」は風情がありますが、花粉症による鼻水や涙は困ります。

  「春雨や いさよふ月の 海半」 与謝蕪村の句です。「いさよふ」はためらうという意味です。また、「海半」の読みは「うみなかば」です。春雨の雲間に、海面からためらうように月が顔を覗かせている、という絵のような情景が浮かんできます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.02.24(Sat) 11:01] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 水沢腹堅 

2018年01月29日 ()
  七十二候では、29日ころまでが「水沢腹堅(さわみず こおりつめる)」です。大寒の真ん中にあたるこの時期は、沢を流れる水も凍るほど寒いころという意味です。今年もまさにこの時期、寒波が襲い、首都圏でも4年ぶりの大雪となりました。
  また、インフルエンザが大流行しています。例年の流行パターンでは1月頃まではA型が流行り、2月に入るとB型が流行り出すそうですが、なんでも今年は1月にA型とB型が同時に流行っているようです。栄養と休養を十分に取り、ストレスを溜めない生活をして、風邪にかからないようにしましょう。

  今日の水彩画は、「木もれびの森の雪景色」です。相模原でも25センチ程の雪が積もりました。木もれびの森の広場も雪で埋まり、細かい枝にも雪を乗せて、白い衣装を纏った枝垂桜が、白鷲の舞を舞っているように、陽に白く浮かび上がります。
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  漢字学者の阿辻先生によると、「雪」という漢字は「雨」の下に鳥の羽を描いており、凍った水滴が鳥の羽のように空から舞い落ちる様をかたどった象形文字として、甲骨文字にも登場するそうです。童謡に「・・・犬は喜び庭駆け回る・・」とあるように、雪には生きものを喜ばせる美しさがあるようです。とはいっても、数メートルもの雪に覆われる雪国の人や、たまに降る雪に悩まされる都会人にとっては、美しいどころではないかも知れません。

  おとうさん、大雪!「お~!積もったなあア!」「あなた、道の雪かきしてくださいな!」「今日は晴れだ!お天道様が溶かしてくれる!」「あなた!両隣の方々が出て、雪かきしていますよ!」「しかたがない!雪かき、雪かき・・・・」「あなた、お疲れ様です!あらっ!汗びっしょり!」「雪かき、汗かき、雪かき、汗かきだア」「熱いシャワーで汗を流し、ビールでも飲んでは・・・」「えっ!これじゃ、また大雪が降りそうだア~」

  「箱根こす 人もあるらし けさの雪」とは、松尾芭蕉の句です。「今朝のこの雪の中を、箱根を難渋しながら越えている人もいるというのに、わたしは温かいもてなしを受けている」という意味ですが、この句が箱根山に近い小田原などで詠われたと、誰もが思うところですが、なんと、芭蕉はこの句を名古屋で詠んでいたのです。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト

ここで、個展開催のお知らせです。

サム ヤマモトの水彩画個展(第五回)「木々の光と影と命」
場所 相模原市民ギャラリー 第一展示室
    JR相模原駅ビル セレオ相模原4階
日時 2018年2月9日(金)~2月12日(月)
     10時~19時(初日11:00より、最終日16:00まで)
この一年間に本ブログに掲載した透明水彩画の原画50点余りを展示します。
原画の美しさをご覧ください。
入場は無料ですが、チャリティ募金を行っています。チャリティにご協力いただくと、お好きな絵のプリントやカレンダーを差し上げています。
皆様のご来場をお待ちしております。

サム ヤマモト
[2018.01.29(Mon) 17:06] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 朔風払葉 

2017年11月29日 ()
   11月27日からは七十二候の一つ「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」です。朔風払葉とは、冷たい北風が木々の葉を落とすころという意味で、朔風とは木枯らしのことです。地面いっぱいに広がる落ち葉と、葉を落とした木々は冬の代表的な景色で、秋が終わり冬の到来という、季節の移ろいが感じられるころです。

  今日の水彩画は、「香嵐渓の紅葉」です。先日、香嵐渓に紅葉狩りに行ってきました。今が見ごろと、山の斜面を彩る紅葉が陽に照り輝いています。岩の間をぬうように流れる川に赤や黄色の紅葉が映り、流れに煌びやかな秋を浮かべて下ります。
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  冬になると空気が乾燥して、風邪をひきやすくなります。冬になり気温が低くなると、空気中に溶け込む水分が少なくなり空気が乾燥した状態になります。特に、太平洋側の地域では冬に乾燥することが多くなります。これは大陸から吹く季節風が、日本海で熱と水蒸気を補給して雪雲となり、この雲が山にぶつかり日本海側に雪を降らせます。雪を降らせたあとの乾燥した風が山を越えて太平洋側へ吹くことで、乾燥した晴天が続くことになります。

  おとうさん、紅葉狩り!「さすが紅葉の名所だけのことはある!」「あなた、本当にきれいでしたねえ!秋になると、どうしてあんなに美しく輝くのでしょうか!」「散りゆく前に一花咲かせたいのだろう・・・」「あなたも散り際に輝いては・・頭ではなく・・」「その言葉には棘があるなあ・・」「あら、美しい花には棘があるって・・・」「その美しい花も散ってしまい、棘だけが残っている・・・・」

  落ちた枯葉でも、地面を様々な色で彩ります。日本では枯れ葉にも「朽葉色」という風流な色名を付けており、この色は、黄染に浅い紅花染を施した赤みがかった褐色で、平安時代からの伝統色です。色調によって「赤朽葉」「黄朽葉」「青朽葉」「濃朽葉」「淡朽葉」と呼び分けていて、色に対する日本人の感性はとても繊細です
紅葉の色では、和色に「紅葉色」という色がありますが、「朱色」か「深紅」の方が自然の色に近いようです。しかしながら、自然の色は、天候や陽の光の当たり具合によって様々に変化します。透明水彩画で紅葉を朱色で描くと、透明感が失われ暗くなりがちですので、明るい部分には「ブリリアントオレンジ」などの色を使っています。

  「このもよりかのも色こき紅葉哉」 与謝蕪村は紅葉がとても好きだったようで、「この紅葉綺麗だ、あっちの紅葉の方が綺麗だ」という高揚感がよくわかります。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2017.11.29(Wed) 14:24] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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