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リストマーク 温風至 

2018年07月11日 ()
  小暑の七十二候の初侯は、「温風至(おんぷういたる)」とあり、梅雨が明けて暖かい(暑い)風が吹き、猛暑がやってくる頃です。梅雨の終わりはいつも大雨の被害がありますが、今年も西日本の記録的豪雨で多くの方が犠牲になってしまいました。もっと早くに避難が出来ていれば、尊い命を失わずに済んだものをと、いつも悔しい思いが残ります。真夜中に避難指示が出ても、避難できるものでしょうか。地域全体で助け合って早めに避難する訓練を重ねる必要があるのではないでしょうか。

  今日の水彩画は、「夏の雑木林の朝陽」です。雨上がりの夏の雑木林に、早朝から強烈な陽が差し込みます。湿った空気が漂う青緑の林のなかに、陽の通り道が開き、その先に照らし出された草木が光ります。
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  真夏の木々の緑は、初夏の淡い緑(若草色)とは異なり、碧緑(青緑)です。この深い緑が、森の茂みをより奥深く見せ、緑の魔境を創り出します。
  碧は「緑に近い青緑色」を意味する漢字ですが、「碧」の漢字は「王」「白」「石」の3つに分解できます。「王」は「玉」と書き宝石を表し、「白」は輝くことを、「石」は石そのものを意味し、これらの組み合わせから、光り輝く宝石の石を表わしました。特に青緑色の光沢をもつ石に使われたことから、「青緑色」を意味するようになったようです。

  おとうさん、酷暑!「暑い!暑くて信号が青だか赤だか分からなくなる!」「あなた、大丈夫?信号は緑色!」「信号は青だろう!」「あれは緑です!」「だから、色は緑だけど青っていうの!」「あれは緑です!」「だから、古代の日本では色の言葉が白、赤、青、黒の4つしか無く、緑も青って言ったの!」「どうして古代の言葉が?」「それが歴史なのだ!今でも、青々とした緑、青汁、青菜、というだろう!」「だけど・・・・やっぱり日本語って変だわ!」

  「江碧鳥愈白、山青花欲然、今春看又過、何日是帰年」は、中国唐の時代の杜甫の詩です。「川の緑に映えて鳥はますます白く、山の青さに映えて花は燃えんばかりだ、今春もまた見る間に過ぎていく、いったいいつになったら、故郷に帰れることだろう」という詩ですが、碧(あおみどり)、白、青、然(紅)と色彩豊かな漢字で、まるで絵に描いたような色の対比と鮮やかな色彩表現に驚かされます。

  「水底の草にこがるるほたる哉」とは蕪村の句ですが、水草から生まれたといわれる蛍が水底の草に焦がれる気持ちを詠んだのでしょうか。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.07.11(Wed) 18:30] 色彩Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 小暑 

2018年07月04日 ()
  7月7日からは二十四節気の「小暑」です。小暑には、日々暑さがどんどん強くなっていくという意味があり、この頃から暑さが本格的になってきます。暦便覧には「大暑来れる前なればなり」と記されています。関東地方は早くも梅雨明けになったようですが、台風や前線の影響で九州や北海道の各地で大雨になっているようです。

  今日の水彩画は、「夏の朝陽が射す森」です。濃い緑に覆われた森に、一条の朝陽が木の間から射込まれます。陽が昇るにつれ、二の矢、三の矢と光の矢が次々と放たれると、次第に森の中に光が満ち溢れ、草木を照らし出します。
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  七月七日は七夕でもあります。七夕(棚機)は織姫と彦星の出会いの星物語ですが、中国では、この二人の逢瀬を祝い、「乞巧奠」(きっこうでん)という行事が催されるようになりました。「乞」は願う、「巧」は巧みに上達する、「奠」はまつるという意味で、織姫にあやかり機織りの技や様々な手習いごとの上達を願いました。この「乞巧奠」が遣唐使によって日本に伝わると、宮中行事として取り入れられ、詩歌や裁縫の上達を願って、梶(かじ)の葉に和歌をしたためて、お祀りしていたそうです。
  笹竹に短冊をつるして願い事をするのは、江戸時代からだそうです。手習いごとや寺子屋で学ぶ子が増えたことから、星に上達を願うようになったのです。本来はサトイモの葉に溜まった夜露を集めて墨をすり、それ文字を綴って上達を願います。

  おとうさん、七夕!「七夕かぁ~彦星と織姫の久々の逢瀬の夜だ!出かけてくるか?」「あなた!何処へ?」「七夕の夜は、星に願いを・・」「あなた、今夜は雨で、星が出ていませんよ!」「大丈夫!居酒屋には星の瓶ビールがいっぱい並んでいる!」

  今ごろは梅雨の地域もありますが、七夕の星は七夕の日だけではなく、七夕を過ぎてからも同じような星空が見えます。午後9時過ぎ、東の空を見上げると、とくに明るい2つの星が「織姫星(こと座のベガ)」と「彦星(わし座のアルタイル)」です。ほかにもう一つ、明るい星が左の方にあります。「デネブ」と呼ばれる「はくちょう座」の星です。これら3つの星は明るい「1等星」で、3つの星を結ぶと「夏の大三角」となり、デネブを通って、ベガとアルタイルの間に「天の川」の流れが見えるでしょう。

  「七夕の 逢はぬ心や 雨中天」とは芭蕉の句ですが、今日は雨の七夕、せっかく織姫と彦星は逢瀬が出来ると有頂天だったのに、雨では、さしずめ「雨中天」と、駄洒落のような面白い句です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.07.04(Wed) 16:58] 季節Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 菖蒲華 

2018年06月27日 ()
   6月27日からは七十二候では夏至の次候「菖蒲華(あやめはなさく)」で、菖蒲(アヤメ)の花が咲くころという意味ですが、菖蒲(アヤメ)の花が咲くのは五月ごろ、今の時期に咲き始めるとすると「花菖蒲(ハナショウブ)」でしょうか。

   今日の水彩画は、「夏の陽に映える谷川」です。梅雨の晴れ間に、谷間に差す陽は、もう夏を思わせ、川底を照らす強さがあります。緑に囲まれ、ザワザワと流れる谷川の水も温み、川遊びの童たちを待ちこがれています。
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  アヤメの漢字は「菖蒲」、ショウブも「菖蒲」で、どちらも同じ字が当てはめられています。これは、どうも奈良時代に中国から端午の節句の行事を導入した時に漢字を間違えたため、異種同名の混乱が生じたらしいのです。いったい誰が・・・。
  改めて、その違いは、ショウブはサトイモ科の植物で、湿地に生育し70cm程の葉を出します。これが節句に使われるショウブです。花は美しくなく、黄緑色で「ガマの穂」のようです。菖蒲園でお馴染みの花は、アヤメ科の植物で、日本の野生の「ノハナショウブ」が改良されたもので、花が美しくハナショウブと呼ばれています。
  アヤメはアヤメ科アヤメ属の植物で、多くが湿地ではなく山野の草地に自生しています。葉は直立し高さ60cm程で、紺色の花を1~3個付けます。花びらに網目模様があり、アヤメの名の由来でもあります。ハナショウブやカキツバタは同じアヤメ科アヤメ属ですが、これらをアヤメと呼ぶ習慣が混乱に拍車をかけているようです。
   
   おとうさん、菖蒲園?「美しい花、それに来場者は美女ばかり、目移りしちゃう!」「あなた、キョロキョロしていないでお花を見て、ハナショウブ、カキツバタ、アヤメの区別は分かりますか?」「区別?花は美しければいい・・・」「あら!あたしを花にたとえると?」「う~ん、ショウブだな!」「えっ!いい勝負ですって!」「日本語は難しい・・」
  
   どちらの女性も美しく優劣つけ難いという「いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」という言葉がありますが、どれがどれだか見分けがつかないというのが本当の意味かも。本当にややこしい日本語ですが、いまもなお、混乱が続いているとは・・・。

   「夕にも朝にもつかず瓜の花」とは芭蕉の句で、夏の花というものは、咲く時間が朝か昼か夕方かと時間の決まったものが多いが、ウリの花はのべつ咲いている、どうもしまりが無い。ここのウリは真桑瓜を指し、今の胡瓜のことではないようです。我が家の野菜畑のキュウリの花は、次から次と咲き実を付けています。

   ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.06.27(Wed) 18:14] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 夏至 

2018年06月22日 ()
  6月21日は二十四節気の夏至でした。日本の大部分の地域では梅雨の最中ですが、一年中で一番昼が長く夜が短い日です。冬至と昼の長さを比べると、5時間ほど昼間が長くなります。暦便覧には「陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以てなり」と記されています。

  今日の水彩画は、「梅雨の森に咲く白アジサイ」です。梅雨の雲間から射しこむ陽に、森の茂みの葉が照り輝く中に、白アジサイの花が浮かび上がります。
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  梅雨に彩りを添える花は、やはり紫陽花です。紫陽花は土壌の性質や、日数で色に変化があるのが特徴です。花にアントシアニンという色素が含まれていて、それに土から吸収されたアルミニウムが加わることで青みを帯びます。酸性の土壌では、アルミニウムが溶けやすく青い花をつけます。逆にアルカリ性の土壌では赤みの花をつけます。また紫陽花は、咲き始めから終わりまで、クリーム色から、水色、青、青紫になり、やがて赤紫(ピンク)に変わります。
  花言葉に「移り気」と付けられるほど、色が変わる紫陽花ですが、白アジサイは色が変わりません。花にアントシアニンが含まれていないのです。色の変わらない白アジサイの花言葉は「寛容」なのだそうです。

  おとうさん、庭に紫陽花!「雨にぬれる紫陽花か!やはり梅雨には紫陽花だ!」「じめじめして薄暗い雨の日は、紫陽花が癒してくれますね!」「癒してくれる花を見に行くかな!」「あなた何処に行くの?」「だから美しい花のあるところに!」「あら家じゃだめですか?」「紫陽花は日が経つと色が変るの!」「・・・・?」

  「夏至祭」は太陽の生命力を得るお祭りで、北欧など世界各地で行われますが、日本でも、三重県二見浦(ふたみうら)で祭りが行われます。ここでは、夏至の時期だけ大小仲良く並んだ夫婦岩の間から朝日が昇ります。
夏至から数えて11日目に「半夏生」という雑節があります。農家にとっては大事な節目の日で、この日までに「畑仕事を終える」「水稲の田植えを終える」という目安で、この日から5日間は農作業を休みとする地方もあるそうです。

  「川風や薄柿着たる夕涼み(かわかぜや うすがききたる ゆうすずみ)」とは芭蕉の句です。京都賀茂川四条河原の納涼会に芭蕉も参加したらしく、その中に薄柿色の帷子(かたびら)を着た人がいる、暑い京都の夏に涼しさを呼ぶ句です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・サム ヤマモト
[2018.06.22(Fri) 20:09] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 腐草為蛍 

2018年06月14日 ()
  6月11日からは七十二候では芒種の次候「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」にうつります。水辺の湿った草陰からは蛍が飛翔し、幻想的な光を放ち舞いはじめるころですが、昔の人は蛍が腐った草から生まれると考えていたのです。
梅雨を迎え、じとじとと雨が降ると、湿度が高くなり、カビがはえ易く、ものが腐りやすくなりますが、野菜を育てるには欠かせない梅雨の雨です。

  今日の水彩画は、「谷間の釣り人」です。6月からアユ釣りが解禁です。谷川を覆うように茂った木々の隙間から、夏の陽が谷間に差し込み、対岸の木々の葉を照らします。緑が川面に映ると、流れの中で釣り人が谷間に溶け込んでいきます。
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  鮎(あゆ)は年魚とも、香魚とも書きます。神功皇后(じんぐうこうごう)が釣りをして戦勝を占ったときにあがったので、鮎という字になったという話が古事記や日本書紀にあるくらい、古くから食べられてきた川魚です。現在、日本の淡水魚でいちばん食べられているのは鮎だそうで、全漁獲量の4分の1にのぼるそうです。

  鮎や蛍は夏の季語です。昔から日本人は「花鳥風月」という言葉で表されるように、四季を通じてくりかえされる自然の移ろいを感性豊かにくみ取り、文章や詩歌や俳句などに表現し、生活の中に取り入れてきました。夏の夜に舞うホタルも人々に愛されてきました。「・・夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ蛍の多く飛びちがいたる。・・」これは、今から千年も昔、清少納言が書いた「枕草子」の一部です。

  おとうさん、アユ解禁!「アユ釣り、夏の風物詩!夏の味だねえ!」「あら、鮎はあまり好きじゃないと・・・」「いやいや、ピチピチした若鮎は美味・・・」「あなたっ!どこの若い子の話ですか!」「いやいや、もうもてませんよ!」「でしょうね!あなたが若い子にちやほやされるのは、おとりです。友釣りのおとり鮎ですよ!」「・・おとりねえ」

  日本には、約10種のホタルが生息していますが、生息範囲が広いことと、光を出して飛ぶことからいえば、ゲンジボタルとヘイケボタルです。ゲンジボタルはヘイケボタルにくらべて環境の変化に敏感で、生活力が弱く、今では生息数が激減しているといわれています。

  「草の葉を落つるより飛ぶ螢哉」芭蕉の句です。草の葉から落ちたと思った瞬間蛍は飛び立つ、という意味で、芭蕉は蛍の飛び方を鋭く観察しているようです。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.06.14(Thu) 10:11] 昆虫Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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