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リストマーク 草露白 

2017年09月12日 ()
  七十二候における白露の初候は、 草露白(そうろしろし)とあり、草の露が白く光る時季としています。夜空の月も美しいので、白露は月の雫とも呼ばれるようです。9月11日は「二百二十日」で、台風がよく襲来する特異日とされ、稲穂も重くなり、果実も実り、農家が収穫にかかる頃ですから、台風の進路や予報が気になる季節です。

   今日の水彩画は、「陽の当たる散歩道」です。朝陽が初秋の木もれびの森に差し込み、柔らかくなった陽が散歩道を白く照らします。鮮やかな緑で照り輝いていた木々の葉も少しくすんだ緑になり、葉を透かす光が黄色みを帯びてきました。
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   秋なのに白露という白色は、秋に思い浮かべる色と比べると違和感があります。この秋の白は、古代中国に端を発する五行説(ごぎょうせつ)という自然哲学の思想からきたものです。五行説では、万物は木・火・土・金・水の五種類の元素からなるとされ、季節と色もこの五元素に結びついているとされています。すなわち、「木:春・青」、「火:夏・朱(赤)」、「金:秋・白」、「水:冬・玄(黒)」、「土:土用・黄」、ということから、秋は白色になるのです。この季節と色をつなげて、青春や朱夏、白秋や玄冬といった言葉が生まれ、北原白秋などの多くの名前の由来にもなっています。

   おとうさん、秋色?「秋の色かぁ~秋色の風景画を思い浮かべるなあ、深い空の青、紅葉の赤や黄色、夕焼けの茜色、稲穂の黄色・・・」「そうねえ秋色といえば、サツマイモの赤、里芋の白、南瓜の黄色、柿の橙・・・」「食い物の色ばかりだな・・・」「秋色といえば、あなた~、秋色の着物が欲しいわ、ねえ~」「えっ!秋色の着物?うぅ~、白秋といって、もともと秋は白色だ、白のかたびらにしては・・・・」「きぃっ!あなた!縁起でもない!」「ちっ、ちがう!白は陽の光、希望の色だ!」

  九月の陰暦名には、「長月」「紅葉月」「菊咲月」など色々ありますが、なかでも「彩り月(いろどりづき)」は美しい名です。木々の葉が赤や黄色に色付くのを見て、昔の人が思わず名付けたものなのでしょう。

  「朝顔に つるべ取られて もらい水」この句の作者は、江戸時代を代表する女流俳人・加賀千代女(かがのちじょ)です。「朝早く、井戸へと水を汲みに出てみると、井戸の釣瓶に朝顔が蔦を巻き付かせ咲いていました。それを解くのは、なんだか忍びないので、近所の家へ水を貰いに行くことにしましたよ」という、よく知られた句ですが、女性らしい美しくも優しい情景が浮かぶ句です。

   ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2017.09.12(Tue) 14:55] 色彩Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 白露 

2017年09月06日 ()
  夏らしくない夏が終わり9月になりました。9月7日は二十四節気の「白露」にあたります。大気が冷えてきて、露ができ始めるころです。暦便覧には「陰気やうやく重りて、露にごりて白色となれば也」と記されています。この頃から仲秋となり、空が高く薄の穂が顔を出し、秋らしい気配となりますが、朝夕は肌寒さも感じられます。

  今日の水彩画は、「木陰に潜む秋の気配」です。暦の上では秋ですが、里山の木々の葉はまだまだ緑色で秋色は見当たりません。でも、木陰に隠れている草木の葉は少しだけ黄色くなっているようで、秋が密かに忍び寄ってきています。
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  旧暦の八番目の月は葉月です。葉月は稲の収穫の準備にかかる時期ですし、収穫を祝う秋祭りもこの時期に多くが催されます。茄子や南瓜など秋野菜が収穫される時期でもあります。我が家の畑でも茄子やピーマン、土手に勝手に生えている南瓜(美味しくないが)も収穫時期となりました。カボチャは南の国(カンボジア)から伝わった瓜ということで南瓜の字があてられ、西瓜(スイカ)と対になっているようです。

  おとうさん、秋野菜がうまい!「秋だなあ、収穫の秋だ!トマト、ナス、ミヨウガなどなど、たくさん採れたなあ!畑の土手にもカボチャが勝手になっている!これも採るか?」「あなた!土手カボチャは採っても美味しくありませんよ!」「土手カボチャと役立たずの代名詞みたいに悪口を言うが、食糧難の時代には、こんなカボチャでも貴重なものだったに違いない!」「あらっ!役に立ったのですか?土手カボチャでも・・・」「なんだ、なんだ!俺の顔見ながらいうことないだろう!」

   「土手かぼちゃ」は悪口として使われますが、土手に自生しているカボチャは、小さく痩せていて食用に適さない「役立たたず」な南瓜であることからきているようです。他にも、「ボケナス」、「おたんこナス」、など野菜にちなんだ悪口言葉が多いようですが、昔から野菜が庶民にとって身近なものとして、たとえにしやすかったのでしょうか。ちなみに「おたんこなす(小さな茄子)」は「おたんちん」が語源のようで、江戸の遊女達の言葉で、嫌な客を「御短ちん」と呼んだことからきているようです。

  「白露や芋(いも)の畠(はたけ)の天の川」は正岡子規が詠んだ俳句です。この芋は里芋のことで、夜の間に大気が冷え込み、畑の里芋の葉につらなるように朝露が宿っているのでしょう。雨が多かった夏のせいか、我が家の畑の里芋も順調に伸びて、大きく広げた葉に白露をため込んでいます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.09.06(Wed) 11:17] 食べ物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 天地始粛 

2017年08月28日 ()
  8月28日頃から処暑の次候、七十二候「天地始粛(てんちはじめてさむし)」に入ります。「粛(しゅく)」には、縮む、しずまるという意味があり、暑さがしずまり、空気が澄み遠くの景色もくっきりと見え、空は高く物音まではっきりと聞こえてくるようになります。早朝に起き散歩にでると、秋がそこまで来ていることが実感できますが、日中はまだ夏の気候で、お彼岸までは暑い日が続くのでしょうか。

  今日の水彩画は、「森に注ぐ柔らかな光」です。夏とも思えない雨続きの日々、雲間から射す薄日に照らされた森の茂み、秋めいた柔らかな光がぬれた葉たちを輝かせ、淡い緑色が森を包みます。
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  秋といえば秋刀魚でしょう。しかしながら今年はサンマが記録的な不漁らしく、お値段が高い!スーパーのチラシには新サンマ入荷とあり、いくら?と値を見ると「特価」と書いてあるだけ!高値なのでしょう。サンマがだめならイワシがあるさ・・・ということでイワシはというと、例年の三倍もの豊漁だそうで、サンマ1尾の値段で3尾のイワシが買えそうです。

  おとうさん、魚が高い!「サンマが不漁だそうだ!だけど旬だから!お~い、サンマの塩焼きが食べたい!」「あなた、サンマは高値ですよ!イワシが安いからイワシにしましょう!」「イワシかぁ・・」「イワシはDHAやEPAが多く栄養価が高いお魚ですよ!」「まあいいか・・」「あなた真イカはもっと高いですよ、今年は!」「??・・だからイワシで、だけどプリン体が多いから痛風が!」「えっ!不倫が多いですって?あなたっ!」「??・・痛い、痛い!どうして叩かれなくちゃいけないのだよ!」

  「イワシ」の語源については諸説あるようですが、陸に揚げるとすぐに弱って腐りやすい魚であることから「よわし」から変化した、との説が漢字で「鰯(いわし)」と書くことからも、有力なのでしょう。イワシは、海に接するあらゆる民族にとって主要な蛋白源のひとつでした。日本では刺身、塩焼き、天ぷら、煮付けなどで食用にされ、稚魚や幼魚はしらす干し、釜あげしらすや煮干しの材料になります。

  「鰯めせめせとや泣子負ひながら」とは小林一茶の句です。鰯(イワシ)を売りに来るのは、山を越えた越後の女性。赤ん坊を背負っての行商姿が、とてもたくましいのですが、一茶が見ているのは実は背中の赤ん坊だったようです。このとき、一茶は愛児を亡くしたばかりでした。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.08.28(Mon) 15:01] 食べ物Trackback(0) | Comments(2) 見る▼
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COMMENT

素晴らしい! by Macky
紅葉の木々のスケッチを探していたところ、何気なく目にとまった里山の風景画に引き込まれてしまいました。素晴らしい水彩画の数々、これからも楽しみに覗かせていただきます。

Re: 素晴らしい! by サムヤマモト
> 紅葉の木々のスケッチを探していたところ、何気なく目にとまった里山の風景画に引き込まれてしまいました。素晴らしい水彩画の数々、これからも楽しみに覗かせていただきます。

覗いていただき有難うございます。週一で日本の風景を描いています。度々いらしてください。サム ヤマモト

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リストマーク 処暑 

2017年08月23日 ()
  8月23日は二十四節気の「処暑」にあたります。「処」には「とどまる」という意味があり、「処暑」とは暑さが和らぐという意味です。暦便覧には「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」と記されています。萩の花が咲き、穀物が実り始め、朝夕は涼風が吹き始め秋の気配を感じられる頃なのですが、今年の天気は、いつもの年のようにはいかないようです。

  今日の水彩画は、「森の光の通り道」です。うっそうと草木が生い茂った夏の森に朝陽が昇ると、木々の隙間から光の筋が差し込んできます。光の通り道にあたった草木たちは、強い光におどろいて目を覚まします。
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  処暑になり暑さが和らぐか? 今年の夏は一筋縄ではいかないようで、梅雨の間は雨が降らず、梅雨が明けて夏本番と思いきや、雨が続き涼しい日照不足の日々!これから秋というのに、晴れの日が続き猛暑となるようで、処暑になってようやく盛夏になります。

  おとうさん、天候不順!「まったくだ!梅雨時は雨が降らず水不足で水運びの毎日!梅雨が明ければ毎日が雨で日照不足!野菜が育たず、雑草ばかりがグングン伸びる!百姓泣かせの天気だ・・・」「あなた~!畑が草で覆われていますよ!草刈りしてくださいな!」「でも今日も雨だよ!」「あら、ゴルフは雨でもやるのでしょ!同じ草刈じゃないですか!」「うむ・・うまいたとえだが・・やる気がなくなるショット・・」

  そろそろサンマが出回る頃で、旬のサンマを塩焼きにして、大根おろしで食べる、いやあ、食欲の秋です。今頃の野菜で旨いものといえば、茄子ですかね。「秋茄子は嫁に食わすな」といわれるくらい美味しい秋茄子です。
 ところで、「秋茄子は嫁に・・・」という諺には、二通りの意味があるようで、ひとつは、姑の嫁いびり説、もうひとつは、茄子は体を冷やすので、食べさせないで嫁を大切にするという説。さらに、「秋なすび わささの粕につきまぜて よめにはくれじ 棚におくとも(酒粕につけた秋なすを棚に置いておくのはよいけれど、ねずみ(夜目・よめ)に食べられない様に)」という鎌倉時代の和歌が語源という説もあります。

  「めづらしや山を出羽の初茄子」とは芭蕉の句で、羽黒山に参篭して下界に降りてきてみると、初なすびのもてなし、なんとも有り難いことです・・。ご馳走に出てきた茄子は、江戸には無い長細いおいしい茄子だったのでしょう。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.08.23(Wed) 10:49] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 寒蝉鳴 

2017年08月11日 ()
  蝉の声がまだ盛んな立秋ですが、七十二候では次侯の「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」にあたり、暦の上ではもう秋なのにヒグラシの鳴き声がよく響く時候なのです。「寒蝉」は蜩(ひぐらし)のことで、早朝や日暮れに「カナカナカナ」となくことから、カナカナ蝉と呼ぶ人もいます。

  今日の水彩画は、「陽差しに焼かれる盛夏の川」です。河原の石や草木の葉、涼しげな流れさえも、容赦なく照り付ける夏の陽に焼かれています。川の中のいきものたちも、日陰の淀みでひっそりと涼を取り、秋の到来を待ちます。
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  蜩は暑さや強い日差しに弱く、涼しい早朝や夕暮れに鳴くことから「日暮し」と呼ばれるようになったのでしょう。どこか物悲しげな鳴き声は、秋への季節の移ろいを感じさせます。俳句の世界では、蝉(せみ)は夏の季語、しかし蜩(ひぐらし)は秋の季語で、昔から、蜩の鳴き声には秋を感じさせるものがあったのでしょう。
  芭蕉の「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」は、あまりにも有名な俳句ですが、静まりかえっている山寺に、ただ蝉の鳴声だけが、一枚岩にしみ透るように聞こえる・・。蝉がうるさく鳴いているのに、静かな情景が浮かぶ句です。蝉が大きな声で鳴くのは、子孫を残すためで、生きた証を示す鳴き声のようです。「蝉の一生の大部分は、土の中で安らかに過ごす七年間で、地上に出る七日間は、子孫を残すための最後の大事業」なのです。そんな見方で蝉の声を聞くと、「がんばれよ!」って、いいたくなります。

  おとうさん、蝉時雨!「蝉時雨ねえ!言葉は美しいが音がうるさくて昼寝もままならぬ!」「あなた、昼寝ですか?畑の草刈りをしてくださいな!蝉だって頑張って鳴いていますよ!」「蝉はなあ~七年間も土の中で休んでいたのだ!最後ぐらい元気になるわ!」「あなただってゴロゴロしてばかり!さあ~爺がんばって!」「はいはい、爺爺(ジイジイ)と鳴いて、まるでアブラゼミだ!」

  ファーブル昆虫記によると、昔から「蝉は耳が聞こえない」といわれていました。実証好きのファーブル先生は、蝉がたくさん止まって鳴いている大木の傍で大砲を放ちましたが、蝉たちは素知らぬ顔で鳴き続けたそうです。実は、蝉に耳がないわけではなく、仲間の声の周波数帯だけを聞き取る耳を持っているそうです。

  「蜩のおどろき啼くや朝ぼらけ」とは与謝蕪村の俳句です。明け方の涼しい間にひと眠り、と思ったとたんの蜩の声、「まったくっ!」とつぶやきが聞こえるようです。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2017.08.11(Fri) 16:44] 動物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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