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リストマーク 金盞香 

2018年11月17日 ()
  早くも11月中旬、立冬の七十二候・末候「金盞香(きんせんかさく)」を迎えています。この金盞香(きんせんか)は「水仙」のことのようです。初冬から早春まで、雪の中でも寒さに負けず健気に咲く水仙ですが、別名「雪中花」とも呼ばれます。

  今日の水彩画は、「落ち葉の絨毯が広がる森の秋」です。色付いた木々の葉が一枚また一枚と落ちて、森に落ち葉の絨毯を敷きつめていきます。ようやく顔をのぞかせた朝陽に照らされ、暗い褐色の森が黄金色に輝き始めます。
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  水仙(スイセン)はヒガンバナ科の球根植物で、原産地はスペインやポルトガル、北アフリカなど地中海沿岸といわれ、日本には二ホンスイセンが中国を経由して渡来したといわれています。水仙の学名でもある英名「Narcissus(ナルシサス)」は、ギリシャ神話の美少年の名前「ナルシサス」に由来しているようです。ナルシサスは、泉に映った自分の姿に恋をして 毎日見つめ続けたら、いつのまにか1本の花(水仙)になってしまったとか・・・。「ナルシスト」はここからきた言葉で、水仙の花言葉のひとつ「自己愛」もこの学名から来ているのでしょう。

  「水仙の香やこぼれても 雪の上」とは加賀千代女の句ですが、水仙の花は香りの良い春の草花として古くから親しまれてきました。ほのかな甘い香りは、天然香料として香水に使われていますが、水仙の葉や球根には強い毒があり、葉はニラに似ていて、球根はタマネギと似ていますから、間違えて食べないように気を付けてください。美しい花には棘がある、じゃなくて毒がある?

  おとうさん!水仙が「季節は金盞香(すいせんのはなさく)だあ!」「あなた、家の野菜畑にも水仙が!あの甘い香りが好きだわ~」「ニラのそばにあったなあ」「そうそう、夕食はニラと玉ねぎで餃子をつくりますねぇ・・」「・・・・思い出した!今日は夕飯いらない、友達と逢う約束があった!」「あら・・・・急にどうしました、あなた!」

  「スイセン」という名は、中国での呼び名「水仙」を音読みしたもので、「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という中国の古典に由来するもののようです。水辺で咲く姿を仙人にたとえたのでしょう。

  「初雪や水仙の葉のたわむまで」とは芭蕉の句です。今日、待ちに待った初雪が降ってきた、その雪の重みに耐えかねて水仙の葉が折れ曲がっている・・・・。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.11.17(Sat) 20:15] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 地始凍 

2018年11月11日 ()
  11月12日頃から、七十二候では「地始凍(ちはじめてこおる)」となり、冬の寒さが増し、大地が凍りはじめる頃となります。朝夕の冷え込みがいっそう厳しくなり、朝は霜が降り、場所によっては霜柱がみられるところもあります。

  今日の水彩画は、「水辺の秋色」です。里山の川も秋が深まり、川の両岸の木々が黄葉し、谷に射す秋の陽に輝き、川面に秋色が映ります。
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  来年のカレンダーが出回る季節となりました。カレンダーといえば四季折々の風景画がつきものですが、私も水彩画を自作のカレンダーに載せています。
  暦と絵画の組み合わせは、ヨーロッパの中世に盛んに制作された月暦画に始まるとされています。月暦画は月暦図、十二ヵ月図ともいわれ、暦に12ヵ月の絵画が組み合わされ、当時のキリスト教世界の世界観や季節特有の農作業、さらに自然の風景や人びとの風俗も描写されていました。この月暦画が西欧における風景画の誕生につながったといわれています。

  西欧の月暦図に対し、日本では平安時代から、四季絵や月次絵(つきなみえ)、さらには四季耕作図とよばれる暦と組み合わされた絵画が描かれました。なかでも、「四季耕作図」とよばれる絵画は、室町時代の末期から禅宗寺院などの障壁を飾るようになった農民風俗画です。稲作の場面は浸種(種もみを浸すこと)からはじまり、犂による耕起、代掻き、苗代への籾蒔き、田植え、草取り、灌漑、稲刈り、脱穀、風選、籾摺りと続き、蔵入れで終わる四季の作業が描かれていました。

  おとうさん、畑に霜!「寒いはずだ、七十二候では地が凍り始める頃だ!暦は早くも11月!光陰矢の如し少年老い易く学成り難し、月日の経つのは早いものだ!」「あなたの七十二では、まだ学成り難しでしたねえ!」「ガクッ!・・・・」

  室町時代に描かれた「月次風俗図屏風」(東京国立博物館蔵)には、正月の羽根突・毬打(まりうち)・松囃(まつばやし)、花見、田植、賀茂競馬と衣更(ころもがえ)、犬追物(おいもの)と蹴鞠(けまり)、富士の巻狩(まきがり)、春日社頭の祭と雪遊びと、四季折々の風俗が躍動感あふれるタッチで描かれているそうです。

  「葱白く洗ひたてたる寒さ哉」は芭蕉の句ですが、ねぎが白く洗われたのを見ると、一層寒さが身にしみる・・・。ねぎは冬場が旨いとされ、冬の季語になっています。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2018.11.11(Sun) 20:05] Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 立冬 

2018年11月05日 ()
  11月7日は「立冬」です。立冬とは冬の始まりのことです。「立」には新しい季節の始まりという意味があり、立春、立夏、立秋、立冬を四立(しりゅう)といって、季節の節目となります。暦便覧には、「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」と記されています。立冬を過ぎると、朝夕が冷え込み日中の陽射しも弱まり、初霜や初雪の便りが届き、冬が近いことを感じさせます。この日から立春の前日までが冬となります。
 
  今日の水彩画は、「晩秋の渓流」です。緑色がすっかりと失せた木々の葉が黄色から褐色へと変り、冷たくなってきた風に揺られて、はらはらと流れに散っていきます。柔らかな陽に照らされた谷は、黄金の蒔絵のように輝きます。
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  七十二候では、立冬の初候「山茶始開(つばきはじめてひらく)」にあたり、山茶花(さざんか)が咲き始める頃なのです。「山茶」は「つばき」と読みますが、「山茶花(さざんか)」のことです。といっても「山茶花」も「椿」も、同じツバキ科ツバキ属の常緑樹で、よく似ています。サザンカとツバキの見分け方ですが、ツバキは花ごと散りますが、サザンカの花びらは1枚ずつ散ります。花の時期は、サザンカは秋から冬に咲き、ツバキは春になってから咲きます。

  おとうさん、サザンカの花!「サザンカの咲く季節かあ、もう立冬だ!」「花の少ない時期に咲くサザンカは和みますねえ~」「サザンカの花の散り方もいいねえ、一枚また一枚と花弁を散らす!」「花ごと落ちるツバキは、武士に嫌われたそうですよ!あなたも、急に散らないでください!サザンカですよ!一枚一枚と・・・」「・・・・・散り際のご注文、承っておきます・・・・・」

  サザンカは日本の固有種で、寒さに強いイメージですが、野生種は寒さに弱く、暖かい地方に自生していました。「山茶花」という名は、ツバキの中国名「山茶(さんさ)」が間違って付けられたようで、読みは「山茶花(さんさか)」が「茶山花(ささんか)」となり、「山茶花(さざんか)」になったようです。花の少ない晩秋から初冬にかけて咲き出す山茶花の花言葉は、「困難に打ち克つ」「ひたむきさ」「理想の恋」というのですが、寒さが強まる季節にも負けずに花を咲かせる姿に由来しているようです。

  「山茶花を 雀のこぼす 日和かな」とは正岡子規の俳句です。サザンカが花ビラを一枚一枚放すように散るようすをみて、スズメのいたずらと詠んだ子規。生きものにたいする優しさが感じられます。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・・サム ヤマモト
[2018.11.05(Mon) 14:11] 植物Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 霎時施 

2018年10月28日 ()
  10月28日からは、七十二候で「霎時施(こさめ ときどきふる)となります。「霎」は、「しぐれ」とも「こさめ」とも読まれ、主に秋から冬にかけて起こる一時的に降ったり止んだりする雨のことです。ふいにわびしさを誘う雨が降ったり、青空がのぞいたりするころですが、一雨ごとにどんどん気温が下がります。秋は美しく粧いながらいっそう深まり、季節は確実に冬へと向かっていきます。

  今日の水彩画は、「秋深まるブナの林」です。すっかり秋が深まった北国のブナ林は黄葉が真っ盛りです。黄色く染まったブナの林に秋の陽が射すと、黄金色に輝きます。林の歩道は落ち葉に彩られ、パッチワークの絨毯が敷かれているようです。
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  ブナは寒い地方では低地に、暖かい地方では高地に生える落葉の高木です。ブナの成長は遅く、5年たった木でも高さ1m程しかならず、直径が40cmになるのに100年かかるといわれます。実がソバの実に似ているため、ソバグリなどとも呼ばれていて、その実はタンニンなどの毒成分が無く、マツやオニグルミの実に次いでカロリーが高く、山の動物たちの格好の食料になります。
  ブナの木材は変形しやすく腐りやすいため、あまり役に立たない木として、木へんに無と書いてブナと読ませたそうですが、ブナの木からは、木地師(きじし)によって、千年も前から、庶民が使うお椀やお盆などが作られてきました。木地師は、良質なブナを求めて山々を転々としながら、轆轤をまわし、ブナの木から椀を作ってきました。

  おとうさん、ブナの黄葉!「美しいなあ・・・。ブナはその保水力によって森に潤いを与え、さまざまな生き物に恵みをもたらすのだ!」「あら、あなた、その割にはブナ林が少ないわねえ!」「そうなのだ!ブナは家や家具の木材として使い勝手が良くなく、戦後、ブナは大量に伐採され、杉やヒノキが植えられたのだ!」「恵みの木なのに、役に立たないなどといわれ・・・・あなたと似ている?」「・・・・・・」

  「霎」は、小雨というより時雨(しぐれ)の意味合いが強いようです。時雨は晩秋から初冬にかけて降るにわか雨です。時雨が降る天候に変わることを時雨れる(しぐれる)ともいいます。時雨は冬の季語です。

  「初時雨猿も小蓑をほしげなり」とは芭蕉の句で、山道で冬の到来を告げる初時雨に出あい、ふと木を見上げると猿が雨にぬれていて、その猿までも小さい蓑をほしそうだ、という時雨に濡れて寒そうな情景です。

  ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.10.28(Sun) 10:30] 自然風景Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 蟋蟀在戸 

2018年10月19日 ()
   七十二候では、10月18日ごろから寒露の末候「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」となり、秋の虫が戸口で鳴く時季です。昔はコオロギのことを「蟋蟀(きりぎりす)」と呼んでいたらしく、秋の虫の総称でもありました。野にいた虫たちが、秋の深まりとともに人家に近づいてきて軒下で鳴くのです。秋は虫も人が恋しくなるのでしょうか。

   きょうの水彩画は、「秋色の森から流れ出る谷川」です。秋の森をぬうように流れ出る谷川が、木々の彩りを映し、落ち葉と共に秋色を下の里へと運んでいきます。
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  深々とした緑に覆われていた木々は、秋が深まり気温が下がってくると、黄色や赤など、さまざまに葉の色を変えていきます。紅葉は木々が冬支度をしている姿といわれます。山の上のミネカエデはきれいなうこん色に、イタヤカエデは鮮やかなクロームイエローに、ヤマモミジは黄から赤に色を変えていきます。緑色を残しながら複雑で華麗な色彩に彩られる山や森は、錦の織物で着飾っていくようです。

   秋になると葉は、なぜ紅葉するのでしょうか。木の葉にはクロロフィルという緑色の要素と、カロチノイドという黄色や茶色の色素、またはアントシアニンという赤い色素が含まれています。気温が下がると、木は葉を落とすために、糖分や水分などの供給を止めます。すると葉緑素が壊れてクロロフィルの分解が始まり、カロチノイドやアントシアンが目立ってくるため、次第に黄色や赤に変っていくと考えられています。

   おとうさん、秋色!「秋だなあ~。虫は軒下で鳴き、草木は紅葉し、賑やかなのに寂しいなあ~」「あなた、どうして木々の葉はあのようにきれいに紅葉するのでしょうか?」「あれはな、いわば冬支度のために葉を枯らしているのだ!」「枯れ葉色なのね、あなたの車のマークと同じね!」「ムッ・・・・・」
  
   日本人は、古の頃から色に固有の呼び名を付けてきました。和の色名だけでも500種類ほどあり、とりわけ多いのが植物に付けられた色名です。植物には幹や枝、葉や花そして果実や種などの色があり、季節によってこれらの色が変化していきます。これらの色を使って、歌を詠み、絵に描き、着物を染めるために、一色一色に雅な呼び名を付けてきたのです。

   「色付や豆腐に落ちて薄紅葉」芭蕉の句です。紅葉豆腐は唐辛子で色を付けるのですが、遊び心から紅葉が豆腐の上に落ちて色付けた、と詠んだのでしょう。

   ではまた、次回の水彩画をお楽しみに・・・・・サム ヤマモト
[2018.10.19(Fri) 10:55] 色彩Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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